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short
5 ※

キスだけでは、終われない。拙いと思う理性を余所に、俺の手は既に依月の衣服を緩めにかかっていた。

酔っ払って意識が浮き上がっているらしい依月からは、抵抗らしい抵抗はない。

襟元を緩めて鎖骨をなぞると、彼はくすぐったそうに笑い声を漏らした。


「ふふっ」
「……依月」
「うん? …うん、惣、くすぐったい」


俺が彼の肌に触れている意図が性的なものであると分かっていないのか、重ねた唇が離れる合間に依月はおかしそうにくすくすと笑っていた。

濃厚な口付けを交わしていたにも関わらず、俺の下にいる依月の躰、その中心はまだ形を変えていない。アルコールが入っているせいもあるのだろうか。

……アルコールが入っていなければ絶対にこんな事は出来ないのは棚に上げて、俺は何となくその事実にムッとした。俺の方は、好きな相手に触れる興奮で既に半勃ちになっているのに。


「ふぁっ…!?」


俺が膝で依月の脚の間を擦り上げると、流石に依月は目を丸くして俺を見上げた。

その頬が赤く染まっているのを見て、俺は小さく頷く。


「あぁ、それでいい」
「惣…?」


きょとんとした依月の瞳。
せっかく触れているのだから、俺ばかり興奮しているのではつまらない。依月の感じているところを、見てみたい。


「ひぁっ…!」


続けて膝を使って依月の中心を乱暴に擦り上げると、驚いたような上擦った声があがった。

襟元を探る右手はそのままに、するりと左手を腿の間へと伸ばす。布地の上から其処を触ると、直接的な刺激のせいか先程までとは違って形を変える程の反応を示しているのが分かった。


「やっ…」


流石に其処に手で触れられるのには抵抗があるのか、依月が小さく首を振る。

甘そうなチョコレート色の瞳が潤んでいるのを見て、俺は彼の左目の泣きぼくろへとキスを落とした。


「…ん、惣…」
「…依月」


震える桃色の唇にも、キスを一つ。

右手はシャツの襟元を探りながら、俺は左手で多少手惑いながらも依月のベルトを緩めて、また布の上から形を変えた彼をなぞる。

合わせた唇の隙間から、やや疳高い声があがった。


「やぁっ…!?」
「……少し、湿ってきたな」


触れた布地には既に、先走りでじんわりと滲みが出来ていた。

生理的な反応に近いのだとしても、俺の与えた刺激でこんな風に濡らしているというのは、気分良い。俺はうっそりと唇を釣り上げた。


「あっ、惣……だっ…ん」


戸惑う依月が、『駄目』を口にしようとする。

その言葉を聞いたら、途端に魔法が解けてしまうような気がして、俺は彼の唇を塞ぐ事によってその訴えの続きを奪った。


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