short
8 ※
「……あまり、煽らないでよ」
「……っぁ!」
低い囁きと共に奥を穿った衝撃に、思わず漏れかけた嬌声を必死に呑み込む。
急いた声と、律動。煽ってしまった自覚はない事もなかったが、セインにとってあれは本心だった。
けれどそれを口に出せばまた相手を煽る結果となってしまうだろうし、また、そんな事を悠長に話している余裕はない。
声を漏らしてしまわないように口元を手で覆いながら、自身を揺さぶるヘンリーに身を委ねた。
「っ……ふ」
「……かわいい、セイン」
必死に声を抑える仕草に煽られたのか、ヘンリーが肩や背に繰り返し口付けを落とした。
項や、肩甲骨。本人には確認出来ない位置に多くの紅い花片を散らし、ヘンリーは熱い奥を味わう。
小柄な体躯である事も関係しているのかセインの腔は熱くも締まりが良く、いつ抱いてももっと味わいたいと思う衝動に駆られる。
素面のセインに告げれば確実に真っ赤な顔をして怒鳴られるだろう事を思いながら、ヘンリーは衝動のままにセインの奥を味わった。
奥のしこりを擦り上げるような律動に、書架に縋り付く細い躰が、ビクビクと震える。
「っ……く…」
「……声が聞こえないのは、やっぱり少し、惜しいね」
声を抑える、その仕草も好きだけれど。
そう囁いてまた肩口にキスを落とすヘンリーに、「アナタがこんな所で行為に及ぶから!」と文句を言う余裕は勿論今のセインには無い。
手のひらで口を塞いだまま、涙の滲んだカーマインの瞳で彼を見上げると、今まさに自分を抱いている最中だなんて思えないくらいの柔らかい笑顔で、セインが口元を覆っている手の甲に口付けが落とされる。
……どうせならば、直接唇の上にキスが欲しい。漏れそうになる嬌声を呑み下しながら手のひらを退けると、心得たかのように再び落ちてくる唇。
「ぅ、ん……っ」
「……は」
相手の口腔内に消える、くぐもった声。
後背位のまま不安定に唇を合わせながら、ヘンリーは律動を再開する。
「……!」
「ん…っ……」
ヘンリーも上り詰めてきているのか、先程よりも律動の間隔が短く、激しい。
それを受け止めているセインもまた、絶頂に近付いてきていて。
「ん…んっ……!」
「は……セイン」
「っ、ぁ、……も、ダメ……!!」
一瞬離れた唇から漏らす、切羽詰まった囁き。
また彼の唇により声を封じられながら、一際強く奥を穿つ動きに身を震わす。
「……!!!」
「……っ、く」
絶頂の嬌声は全て、ヘンリーの唇が呑み込んだ。
書架を汚さないように、と咄嗟に引いた腰に、絡む手のひら。セインが吐き出した精は、何とかヘンリーが受け止めてくれたようでホッとする。
「……は、ぁ」
「……、セイン」
ちゅ、と項にまた口付けひとつ。
快感の余韻に浸るセインがゆっくりと彼を見上げると、まだ彼の深蒼の瞳は満足はしていないようで。
「……続きは、部屋に戻ってから、ね」
ため息と共に言ったセインは、思わず苦笑いした。
もし試験が再試になってしまったら、ヘンリーに家庭教師を頼もう。
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テーマはそのまま、図書館えろでした(笑) junkで書き始めて暫く放置して、セイン編がアリア編から独立する時にサルベージしたもの。
既に付き合ってる設定なので、セインのデレ度が高いですww ヘンリーさんは見た目の割にケモノですねww
13/1/14
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