short
3 ※
「…セイン?」
「……イジワル」
「うん。…セインの言葉が聞きたい」
にこりと笑って「イジワル」を肯定したヘンリーに、セインは唇を噛み締める。
白い歯を立てるその場所を彼の指が優しくなぞり、強請ってみせろと促す。
「っ、…もっと…」
「ん?」
「もっとちゃんと…触って、…ひぁ…!」
そう声に出して強請れば直ぐに、絡まっていた指が解けて胸元へ下りる。
きゅっと胸の粒を摘むように指先で転がされ、すぐさま上擦った嬌声が漏れた。
「っ…、む…」
こんな場所で喘いでは、とギリギリのところで理性が働き、自由になった手で口元を押さえる。
いつもは声を抑えると不機嫌になるヘンリーも、今日ばかりは仕方ないかと苦笑いし、セインの胸元を弄くる指を動かした。
「っ…! んむぅ…」
「…セイン、気持ちいい?」
「は、んっ…」
抑えても漏れ出しそうになる声に、瞳に薄く涙を浮かべながら、セインはこくりと首を縦に振った。
正直な反応に、ヘンリーが愉しげに笑う。
「そう。素直でいい子だね」
クスリと笑ったその緋色の唇が、そっと胸元に下りる。
何をされるのかを察した小さな背がびくりとしなり、躰の押し付けられた本棚が小さく揺れた。
「っぁ…!」
「ん……」
ぱくりと、小さな木苺でも食むように胸の上の粒を口に含まれて。
この場所が弱いセインは、零れそうになった甘い声を必死に噛み殺した。
ぺろりと舌で転がされたり、時折白い歯が掠めて行ったり。敏感な箇所への刺激は確実にセインを追い込んで行き、いつしか快楽に反応していたセイン自身を控え目に震わせる。
「っ……ゃぁ」
「……セイン、さっきから膝を擦り合わせちゃって、どうしたの?」
「…!」
ちゅ、と軽く紅い粒を吸い上げてから唇を離し、ヘンリーは口の端を釣り上げながらそう問うた。
どうしたか、なんてセインを追い詰めているヘンリーが一番良く知っているだろうに。
大きく瞳を見開いて真っ赤になるセインに、見た目ばかり上品な獣の喉が鳴る。
「っ、あ…」
「セイン…?」
するりと、長細い指先が線の細い輪郭をなぞる。
くい、と顎を取られ持ち上げられれば、間近でかち合う朱と蒼。
覗き込んだ涙で潤んだカーネリアンは、確かに欲情に濡れていた。
「ヘンリー…」
「ん…?」
「……、もっとちゃんと…欲しい」
もじもじともどかしげに擦り合わせていた膝を、ゆっくりと開く。
自分が酷くいやらしく、恥ずかしい事をしているという自覚はあった。
それでも、彼の手によって火を点けられたこの躰は止まらない。
12/5/13
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