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Secret Library

※ ついったで呟いた「今度図書館えろ書きます」より ← 恋人設定





「ヘンリー…? …え、ちょっ……んっ…」


振り向いた拍子に長い指で顎を捉えられ、押し当てられた唇。

…一応好き合って付き合っている恋人同士、今更口付けの一つくらいでどうこう言うつもりもないのだが、この場合は場所が悪かった。

アカデミーの敷地内にある、浮遊図書館。大陸の中でも一番大きいであろうこの図書館は、試験期間前の学生たちで溢れていた。

書架自体は非常に広い為、学生の出入りが多いとはいえ、あまり人の来ない場所もある。少々マニアックな調べ物をする為に訪れたこの書架には、セインとヘンリーの他に人の気配はない。

が、それでもいつ他の者が来るともしれない場所で、いくら恋人同士とはいえ睦み合うような趣味はセインにはない。

ない……のだが、それでも唇を貪る相手を力の差で振り払う事が出来ない。


「ふっ……は、ちょっ、ヘンリー…!」
「…ん、セイン」
「ぁっ…だめ、だって…!」


躰を揺らしても、手首を掴んでいる男の手はびくともせず、呼吸の合間に囁く言葉も直ぐに彼の唇に吸い込まれる。

静かな空間の中で耳につく、くちゅ、という濡れた水音に、頬が紅潮していくのを感じた。


「…もっ…! いきなり、何するっ!?」
「しっ、静かに。大きな声を出すと人が来るよ」


やっと解放された唇に、すかさず相手を見上げて叫ぶと、ウルトラマリンの瞳を微かに細めてヘンリーが咎めるように囁いた。

どちらのものとも言えない唾液でてらてらと濡れたままの唇にそのたおやかな人差し指を添えられると、途端に羞恥が爆発しそうになる。

それにまだ、左手首は彼の手で書架に縫い止められたまま。誰が見ても妖しいこの体勢に、セインも声量を落とす。


「…誰が叫ばせてると思ってるの…! いきなりこんな所でキスなんて、何のつもりなの!?」


小声で叫ぶセインに、囲い込むようにして彼を見下ろすヘンリーは肩をすくめる。


「うーん…、何の、って訊かれるとちょっと答えづらいんだけど…。私もほぼ衝動だったから」
「っ、そんな衝動でいきなりキスなんてしないで!」
「嫌だった?」
「嫌……って訳でもないけど、場所を考えてよ!」


嫌ではない、とそう答える時にまた恥ずかしくて顔を赤くしてしまったが、とにかくこんな場所でそんな事をするのは勘弁して欲しい。

セインは切にそう思うのに、その表情を見下ろしたヘンリーは深蒼の瞳をギラリと細めた。


「…セイン、その表情は駄目」
「は? …っ、ちょっと!?」


伸びてきた手が先程よりも明確な意図を持って襟元に触れているのに気付き、セインはまた声を荒げた。


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あきゅろす。
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