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short
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意識しているのは自分ばかりで、彼にとってこの戯れは気まぐれの延長線のようなもの。そう思うとどうにも口惜しくて、けれど結局は何も言えずに行き場のない想いはわだかまる。

ぐだぐだと思い悩むのに夢中ですっかり疎かになっているペン先に、ヘンリーはクスリと笑い声を漏らしてセインの髪を撫でた。

彼に背を向けているセインは、その深蒼の瞳がどんな感情を宿しているのかには、まるで気付かない。


(……可愛い)


膝の間にすっぽりと収まる、15歳の少年にしては小さな躰をぎゅっと抱き締め、ヘンリーは息を吐いた。

未だ緊張は抜けないのか、ヘンリーに抱き締められるとカチコチと小さな躰を強ばらせて、鼓動をトクトクと弾ませて。それでも側に居る事には馴れてきたのか、逃げようとする事はなくなって。

徐々に懐いてきて触らせてくれるようになった小動物を思わせる相手に、ヘンリーは知らず口元を綻ばせた。


(そのうち、この子の方から近寄って来てくれるようになったら、嬉しいなぁ……)


執着した相手には、ゆっくりとじわじわと。強い水の素養を持ったヘンリーはやはり、水属の基本的な性質に漏れない。

腕の中に収めた相手の可愛らしさに、ヘンリーはふわりとしたココア色の旋毛に口付けを落とした。


「……? ヘンリー?」
「ん? なぁに?」


相手の行動が視界に入らないセインは、旋毛に何かが触れた事には気付いても、口付けられたとは分からないらしい。

もぞもぞと身じろごうとする躰をやんわりと拘束しながら、ヘンリーは穏やかな眼差しで微笑む。

ふわふわのココア色の髪を手のひらで撫でると、セインは不思議そうに首を傾げた。


「今なんか…、……いや、なんでもない」
「そう?」


違和感を言葉に出来ずに閉じた唇に触れてしまいたいけれど、それはきっとまだ早計だ。

その代わり、ある程度好きに触れさせてくれるようになった髪や躰を、許す限りに愛でておこうか。

背後のヘンリーがほの暗い欲を宿した瞳で自分を見下ろしている事など知らず、セインは今日は妙にスキンシップが激しいな、と落ち着かなさげに身じろぎする。

そんな小さな動きすら緩やかに拘束する腕の中に、徐々に馴染まされているのだと、セインはまだ気付かない。

地面に穴を掘った、獲物など捉えるつもりの無かった蟻地獄。穴に落ちた、美しさの中に自覚すらない狂気を秘めた毒蝶。

罠に掛かったのは、どちらだったのだろうか?


「…ヘンリー?」
「…ん?」
「此処、分からない」
「…あぁ、其処はね…」


首筋に触れる銀糸のくすぐったさに躰を捻ろうとするセインを、ヘンリーは微笑みながら捕まえる。

日ごとに近くなっていく相手との距離に、意図を感じる日はいつだろうか。


二人だけの時間は、ゆっくりと確実に進行していく。
















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ヘンリーさんの隠しきれないヤンデレ臭が……ww

仕方ないなぁ、と思わされているうちにじわじわと落とされているのです(笑)

セインは今のところヘンリーが構うのを気まぐれの延長線だと思っていますが、ヘンリー的には絶対に手に入れる気満々です。アリアが見たら容赦なく「…鈍い」と言われますw


12/9/9

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あきゅろす。
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