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腕の中のケージ
※ 無自覚に病んでるヘンリーさん
膝の上で、うとうととカーマインの瞳を蕩かす子供。
あまり土に汚れていない方の指でそっと頬を撫でると、既に意識は半分程微睡んでいるのか、動物のように心地好さげに瞳を細めた。
「…セイン」
「ん……」
ごねるような、微かな吐息。擦り寄ってくる小さな躰を抱き締めながら、ヘンリーは随分馴れてくれたものだと笑みを漏らす。
初めて逢った時には、毛を逆立てた小動物のように此方を警戒していた。そのくせ此方を気遣うような仕草を見せた子供の瞳が、面白くて。
気付けば興味を引かれ、いつしか彼を絶対に手に入れてやろうと思うようになっていた。
執着したものにはどこまでも粘着し、手に入れるまで諦めない。そして手に入れたのならば決して逃さないというのは、水属の素質を持つ者に表れがちな悪癖というか習性だ。水の素養を強く持つヘンリーもまた、その習性を色濃く持ち合わせていたらしい。
「ホント、篭に閉じ込めて、そのまま連れ去ってしまいたいなぁ……」
「…? なにか、言った?」
ぽつりと吐息だけで呟くと、眠たげに潤んだカーマインの瞳が此方を見上げる。
ヘンリーの膝の上で無防備な姿を晒す獲物は浅はかで、とても愛らしい。
ヘンリーは生まれ持った美貌を生かし優しく微笑むと、さらりとセインの甘いココア色の髪を撫でた。
「何でもないよ。セインは可愛いな、と思って」
「……、ばかじゃ、ないの」
不思議な事にこの子供は、自分が“可愛い”という自覚は欠片も思っていないらしく、ヘンリーが事実を囁いても呆れたような照れたような顔をする。
この先ずっとヘンリーが囁き続ければ、いつかはこの愛らしい子も自分の魅力を自覚してくれるだろうか。
ああ、でも駄目だ。自分の魅力に気付いてしまったのなら、この可愛い子供は自由を求め、ヘンリーの手元から離れてしまうかもしれない。
それはいけない。それならば、セインはずっと自分の可愛らしさを誤解したままでもいい。
……彼の愛らしさは、自分だけが知っていればいいのだから。
「…セイン」
「んー……」
いよいよ眠気が強くなってきたようで、ゆらゆらとヘンリーの目の前で小さな頭が揺れる。
その頭ごと自分の胸元に引き寄せ、甘く囁く。
「寝ててもいいよ」
私の、腕の中で。
元より限界が近かったからか、胸元に頭を寄せさせその柔らかい毛先を梳いていれば、直ぐに漏れ聞こえてきた吐息。
ヘンリーは可愛い子供を抱き締めながら、うっそりと息を漏らした。
「…ずっと閉じ込めて、逃がさないでいたいね」
私の可愛いセイン。
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無自覚ヤンデレこわい ← これでヘンリーさん自分がドSだとかヤンデレだとかの自覚が全くないんだから、凄く怖いよ!
ヘンリー視点で何か書こうと思って書いてたら、思った以上にヤンデレでこわいです(笑) 出来るなら閉じ込めちゃいたい派。わろえないww ←
セインはどちらかというと平凡寄りなんですが、ヘンリーには世界一可愛く見えているようです。
12/8/9〜9/9(拍手掲載)
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