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「ちょっ、いま、今のっ…!」
「…春氷、動物相手だといつもこうだから…」
チャラ男キャラのくせに顔を真っ赤にした雄二郎に、由貴が乾いた笑いで言う。
黙って其処に居れば、凡庸に見える少年。けれども動物相手に囁きかける声は、表情は、これ以上ない程に甘く蕩けるような艶を持っていた。
その意外性にあてられて顔を赤くしている役員たちは、まだいい。そろそろ春氷に気がある事を否定出来なくなっている暁は、その愛らしい甘さにどんな反応をすれば良いのか。
この場の誰よりも顔を赤くしてそっと春氷から視線を逸らした暁の事は、春氷に気を取られ幸いにも誰も見ていなかった為、彼の名誉は守られたが。
「何と言うか…、何て言ったらいいんでしょう」
「突っ込んだら負け、って思った方がいいよ。あはは……」
シマリスが手から逃げたのにも気付かず、ほんのりと頬を染めた智佐の言葉に、乾いた笑いを漏らすのはやはり由貴。流石にこの春氷と一ヶ月同室で過ごしただけはあり、スルースキルに長けている。
甘い表情で九官鳥の嘴を撫でていた春氷は、急激に変わった周りの空気にやっと気付いたのか、顔を上げてきょとんとした表情をした。
「…?」
人に向けて晒す表情は、どこにでもいそうな平凡なもの。だからこそ、あのギャップは破壊力が高い。
「……、春氷」
「どーしました、会長」
「紅茶が無くなった。お代わりを貰えるか?」
気を落ち着けようとカップに残った紅茶を一気飲みした暁は、未だ赤い顔をしたまま空になったカップを春氷に示した。
動物の事以外はあまり細かい事は気にしない春氷は、こくりと頷いて九官鳥を肩に乗せたままキッチンへと入って行った。
残された役員たちと由貴は、なんとなく深いため息を吐く。
「カイチョーさぁ」
「?」
気の抜けたような微妙な空気の中、口を開いたのは雄二郎。役員たちは、なんとなく言葉を発した彼へ視線を集めた。
そして落とされる、暁にとっての爆弾。
「あの子のこと、好きなの?」
「はっ!?」
応えた声は、思わず上擦る。
彼が滅多な事では動揺しない事を知っている役員たちは、その反応に図星かと温かい瞳で頷いた。
「あぁ、そうなんだ……」
「道理で仲良いと思ってました」
「あの子のこと、よく知ってる感じでしたしね」
「春氷かー、…暁、苦労しそうだなぁ」
「……がん、ばって」
「おい。おい待て。俺は別に頷いてはいないぞ、何だその生温い視線は!」
顔を赤くしながらそんな事を言ってみても、逆効果にしかならない訳で。
「お待たせしましたー。…? 会長、顔赤いみたいですけど風邪ですか? 生姜紅茶にします?」
「なんでもないっ…」
彼が顔を赤くした理由など知るよしもない春氷がきょとんとするのに、役員たちから生温い視線を注がれてしまった、など。
「カイチョーって、意外とヘタレなんだねぇ」
「……」
「痛っ! ちょっ、フクロウけしかけないで!!」
「ヨル、間宮会長の事気に入ったのか? あはは、お父さんみたい? 良かったなー」
「…………」
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相変わらず進展しない傍観者。今回は動物回です。間違っても生徒会+佐上君回ではありません(笑) 主役はあくまで春氷の子供たちですww
寮部屋ではかなりフリーダムにやっちゃってる春氷ですw わたしは是非とも春氷部屋に突撃したいです(真顔) 動物モフりたい! ←
春氷との関係が進展しないまま、役員たちから生温い応援を貰っちゃった会長。いつになったら進展するのやら…(笑)
12/6/18
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