short
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* * *
エリオットの膝の上に半身を乗せ、すよすよと寝息をたてる小さな少女。
その淡い金色の髪に指を絡めながら、エリオットが愛しげに彼女を見下ろしていると、ふと此方に近付いてくる足音が一つ。
「あぁエリオ、こんなトコにいた」
「…おう」
先の授業に一人だけ向かわせた、級友のランス。
もう授業時間は終わったのか、と腕に着けた時計にちらりと視線を走らせた。…いつの間にか、随分時間は経っていたらしい。
使われた形跡の少ない教科書を抱え直し、ランスはデカい図体で唇を尖らせて言う。
「いきなり“代返頼んだ”なんて言って抜けるから、びっくりしたじゃんか。…オレ一人で、呪文理論なんて分かる訳ないだろ!」
「後でフィーネにでも教えて貰えよ」
ここでランスに対して「自分が教えてやる」とは、絶対に言わないのがエリオットであるが。
クラスは違うが顔見知りの、バカの幼なじみとは思えない真面目な少女の名前を出しながら、エリオットは興味無さそうに小さく欠伸をした。彼女ならばこの理解力に欠如したバカにも、根気強く勉強を教えてくれる筈だ。
「えー、でもフィーネは最近忙しそうだからさぁ…」
「俺だって忙しいっつうの。…それにアイツは、お前にならいくら忙しくても時間を割くだろ」
「ん? エリオなんか言った?」
「…別に」
アイツも苦労するな。…ぽつりと言った小さな呟きは、案の定鈍いランスには届かなかった。
エリオットがため息を吐くのとほぼ同時、会話する声が障ったのか、膝の上で眠っていたアリアがゆっくりと瞼を上げる。
顔を覗かせる、大粒の僅かに濡れたエメラルド。寝起き特有の蕩けた空気を纏うアリアは、頬を膝の上に付けたまま上目使いにエリオットを見上げた。
「……リオ?」
「起きたか。…おはよう、アリア」
「…ん、おはよう…」
ほわん、といつも以上にぽやぽやした空気を纏うアリアの髪を優しく撫でると、アリアは蕩けたように微笑んだ。
漂う甘ったるい空気に、鈍感なランスはぱちぱちと瞳を瞬かせている。
「もう昼時だ。…飯食いに行くか?」
「ん…ごはん、たべる」
寝起きで舌っ足らずになっていても、食い意地は相変わらずらしい。
ククッと喉を鳴らし、エリオットはまだぼんやりとしている彼女の背を支えながら立ち上がった。
きょとんとした様子のランスを振り返り、唇を釣り上げる。
「お前はフィーネとでも飯行ってろよ。…その方がアイツも喜ぶぞ」
「へ? ……あっ、エリオ!」
またもや取り残されたランスの声が響くが、それでもなけなしの頭が空気を読んだのか追いかけてくる足音はない。
小さな指先に自分の指を絡め、エリオットはそっとその蒼の双眸を細めた。
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一応これでエリオとアリアはくっ付いたことになりますw ナチュラル公害バカップルの誕生でございますww
途中エリオがナチュラルに犯罪っぽいとかも言われましたが…、うん、ろりこんって言われる程の歳の差ではないから! うん! ← (問題なのは見た目だなんて……うん ←)
せっかくシリーズしてまとめたので、サブキャラのフラグもちらちらチラつかせていこうかなぁ…とw とりあえずBLなセイン君のフラグ回収してあげたい(笑)
12/1/30
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