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short
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「……大事だよ」


囁くと、アリアが弾かれたように顔を上げる。見張られた深緑の瞳が、宝石のように輝いて綺麗だ。


「俺だって、アリアが一番だ」
「…!」


指先を滑らせた白磁の頬が、じわじわと朱味を帯びていく。

幼いように見えて、案外年頃らしい人並みの反応もするんだな、とエリオットはくすりと笑う。

端的に言えば、可愛らしい。


「…アリア」
「んっ……」


耳元で名前を囁くと、頬を染めたアリアがくすぐったそうに身を捩る。

逃がしてやるつもりは当然無く、エリオットは小さな背中に回した腕に力を込めて彼女を引き寄せた。

大粒のエメラルドの瞳と、至近距離で視線がかち合う。珍しく戸惑っているような表情を見せるアリアに、エリオットは喉元でクツクツと笑う。


「……何だ、どうした?」
「んーん…」


引き寄せているのは自分だというのにわざとらしくそう問うと、アリアはゆるゆると首を振った。

彼女の仕草の拍子に毛先の跳ねた柔らかい金糸が頬を撫でる程に、近い距離。

…この少女は、自分のモノ。衝動は抑えきれない。


「アリア」
「…ん…?」


瞬く深緑の瞳。ギラついた瞳を晒す、自分の姿が映っている。


「イヤか?」
「え…?」


その問いの意味が分かっているのか、いないのか。きょとんと瞬いた様子からして、分かっていないだろうか。

背を引き寄せた手で、羽毛のように柔らかい金糸を掻き混ぜるように撫でた。


「…アリアは、俺が一番なんだな?」
「…うん。アリィは、リオが一番」


素直に頷くアリア。よく出来た、とでもいうように頭を撫ぜる。


「俺も、アリアが一番だ」
「…うん」


先程も告げた言葉を繰り返すと、アリアは恥じらった様子を見せながらも嬉しそうに頷いた。


「俺のことが、イヤか?」
「…ううん」


この流れで、嫌だなんて言う筈がないと思いながらも、エリオットは敢えてそう訊いた。

問いの意図は察したのか、それとも未だ分からぬままか。ふるりと首を振ったアリアの項に手を添え、更に引き寄せる。


「…なら、いいよな」
「ぁ……んっ」


囁いて、触れる。始めはただ、その柔らかい感触を確かめるように。


「……こういう時は、目を閉じるもんだ」
「ん…」


触れた桃色の隙間から、見張られた瞳を閉じるように囁く。アリアは素直に従った。

幾度か角度を変えて唇を合わせると、アリアが微かに甘く苦しげな息を漏らす。

エリオットはクスリと笑った。


「苦しいなら、鼻で息しろ」
「ん…っ」


雛鳥のように、自分の言葉に素直に従う少女が酷く愛おしい。

…彼女は、自分の雛鳥だ。エリオットの為の、アリア。

満足感に口の端を吊り上げると、エリオットは小さな背を掻き抱く腕に力を込めた。


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あきゅろす。
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