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short
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「何だ?」
「……名前、は?」
「おいバカ、名前だってよ」
「おっ」


多少は心を許す気になったのだろうか。

エリオットのローブから顔だけを出してランスを見上げる彼女を、ランスはにこにこと人好きのする笑みを浮かべて見やる。


「ランス=ラインベルト、火クラスの三年次生で、エリオの親友だ」
「後半の妄言は無視していいぞ」


すかさずテンポ良く却下するエリオットと、気にせずににこにこと笑うランス。端から見れば、充分に仲の良い友人同士だ。

大粒な深緑の瞳で二人を見上げたアリアが、ぽつりと声を漏らす。


「……ラン」
「んっ?」
「…、あぁ、少しは心開いたみたいだぞ。名前の二文字省略は、親愛の証だ」


彼女は交流のある人間を二文字の愛称で呼ぶ癖があるようだと、エリオットも気付いたのは最近だが。愛称を呼ぶ人間には多少なりとも懐いているようだから、ランスも一応認められたのだろう。

未だエリオットのローブに半身を隠しているアリアは、じぃっとランスを見上げている。


「…その割にはまだ警戒されてるような気がするのは、気のせい?」
「これはただ観察してるだけだろ。…アリア、そろそろ出て来い」
「…ん」


エリオットが軽く身を翻すと、アリアは彼のローブの中から出た。

柔らかい金髪の頭をくしゃりと撫でてやると、軽く瞳を細める。


「……ホントにエリオのペットっぽいな」


二人の様子を見たランスが、しみじみと呟く。

その声にエリオットは軽く肩をすくめたが、アリアはきょとりと瞳を見張った。


「…、ペット?」
「……学内ではそう見られてるみたいだぞ」
「……」


エリオットが応えると、アリアは口を閉じた。

一見無表情なその様子からは微かな戸惑いと、軽い不満が読み取れる。


「…知らない奴には、勝手に言わせておけばいい」
「……ん」


エリオットがそう囁くと、アリアは小さく頷く。


「……結局二人は、どういう関係なんだ?」
「さぁな。…他人から見た関係性を示す言葉なんて、俺は大して重要だとは思わない」
「はぁ…? …エリオ、俺知っての通りバカだから、分かり易い言葉で言ってもらわないと分かんねえよ」


冷めた声で返したエリオットに、自らバカを認めるランスが微妙な顔をして訊き返す。


「別に他人に分かって貰う必要はない、って言ったんだ」
「えー…?」
「お前には分からないだろうな」


二人の関係性如何ではなく、エリオットの考えそのものが。

首を傾げるランスを余所に、アリアがギュッとエリオットのローブの裾を握る。


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あきゅろす。
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