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short
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「……セイは、リーと一緒にやればいいと思うの」
「ッ、それとこれとは違うでしょ! アリア!」
「…?」


アリアが言った途端、呆れたような疲れたような表情だったセインの顔色が変わる。

頬を紅潮させ、焦ったように言い返したセインに、エリオットは微かに眉を上げた。


「…何だって?」
「……掘り下げないで下さい」
「……、アリア」


ふいっと視線を逸らしたセインに、エリオットは聴取相手をシフトチェンジした。

水を向けられたアリアは、いつものように何でもない調子で言う。


「ん。セイのコイビト」
「違うッ!」
「……なんとなく理解した」


さらっと言ったアリアに、真っ赤になって反論するセイン。

その様子から、なんとなくだが事情を察した。要するに、素直になれない思春期だ。

…などと軽く思っていたエリオットは、続いたアリアの言葉に飲んでいた水を咽せかけた。


「……でも、男のヒト」
「!?」
「アリアっ!!」


気管に入り込みそうだった水を何とか堪えたエリオットと、いよいよ声が悲鳴染味てきたセイン。

アリアだけは相変わらず淡々としていて、のんびりとジュースに口を付けた。


「……、なんとなく、理解した」
「…理解しなくてもいいです…!」
「…いや、いいんじゃねえの? 人それぞれだぜ、そういうの…」
「それで納得したような、投げ遣りなコメントは止めて下さい!」


咽せ込みかけた水を改めて飲み下しながら、エリオットはうんうんと頷いた。完全に他人事だ。


「別に僕は、まだあの人と付き合ってるってワケじゃ……」
「…“まだ”、なのね」
「あぁ、“まだ”なのか」
「ぁ……」


完全に墓穴を掘ったセインは、顔を青くしたり赤くしたりと忙しい。

なかなか面白いリアクションである。“変わり者”のこの後輩、案外可愛らしいところもあるようだ。


(…安牌確定、だしな)


アリアの男友達、という事ではあるが、この様子なら間違いがある事はなさそうだ。

フリーズしてしまったセインから視線を外し、もくもくとパンを頬張るアリアの頬をつつく。


「……?」
「……なんでもない。メシは別に逃げねえから、落ち着いて食えよアリア」
「…、ん」


彼女が食べ終わったら、とっておいたBランチのデザートをあげようか。

柔らかいアリアの髪を撫でつつ、エリオットはテーブル越しに固まるセインを見やった。


「…………」
「…、お前は早く残りを食べた方がいいぞ、ウォレット」
「……!」


瞳を見開いた後輩にクスリと笑えば、隣からも小さな笑い声が聞こえた。












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エリオとアリアと、お友達。セインはお相手にはツンデレっぽいですね(笑)

アリアは人を呼ぶ時は、二文字に略すらしいw “リー”と呼ばれたセインのお相手も、そのうちちゃんと出したいw


11/10/9

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