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short
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「あのドラゴンを狩ったのは俺たちだし、好きにしていいですよね?」
「えぇー? それはちょっと俺の一存では…、ドラゴンって高級素材だし」
「それは牙とか角とかの話だろ? …別にそれは食わないよな?」
「…骨はちょっと欲しい」
「分かった。じゃ、肉と骨の一部は俺らが貰うって事で」
「…え、ちょっと待て、ロッド!」


さくっと一方的に結論を決めると、慌てるポールの声は聞かずにエリオットは踵を返した。ちょこちょことアリアも続く。

倒れたドラゴンの周囲には教師たちが居たが、アリアを見たシルフクラスの教師が通してくれた。


「…そいえば俺の魔法で焼けてるけど、大丈夫なのか?」
「鱗は厚いから、魔法で焼いても中身は意外と焼けてない事多い…」
「へぇ」


ドラゴン族の鱗もこの世界では貴重な素材だが、焦げてしまっているなら仕方ないだろう。

倒れたドラゴンの傍らまでやって来たものの、さてこれからどうやって食肉を取るのだろうか…。


「…鉈があれば、アリィが自分で捌けるよ…?」
「……まじか」


エリオットの戸惑いを感じたのか、くいっとローブの裾を引っ張ってアリアが申告する。

しかし、自分で捌く…とは…。勿論、食肉がそうやって加工されて食卓へ届くものだと、頭では知っているのだが。


「実際目の当たりにしたら、ショッキング映像だろうなぁ…」
「…?」


くせ毛がぴょこりと一束跳ねたアリアの頭を撫でながら、エリオットはぼやく。

けれどまぁ、そんな彼女も嫌いではない。


「鉈、ね。…どこにあっかな…、食堂から借りられるか?」
「んー…」


二人が首を捻って考えていると、追い付いたポールが声をかけてくる。


「ロッド!」
「あ、センセイちょうどいいトコに。食堂とかから鉈借りれねえ?」
「…鉈ぁ? そんなん何に使う…」
「捌くのに」
「……、あ、止めて、想像したらクラッときた」


怪訝そうなポールにさらりと答えると、額を押さえた彼が首を振る。

まぁエリオットにとっても進んで見たい光景ではないが、…同時になかなか見ようと思っても見られる光景でもないだろう。


「…俺もドラゴンどんな味がするのか興味あるしなぁ」
「…美味しいよ」
「そうか、楽しみにしとく」


ぽふぽふとアリアの頭を撫でる。


「ラスターセンセイ、鉈だってば」
「〜〜分かった、けど俺は現場見ないからな!」
「強要はしねぇよ」


他の教師たちが誰も止めない流れに敗北を察したのだろう、ポールが叫んで食堂へ走り去ったのを見送り、エリオットは肩をすくめる。


「…勿論俺にもご馳走してくれるんだよな、ドラゴン料理」
「ん、リオも食べよ?」
「アリアが作るんだよな」
「ん」
「分かった。…楽しみにしてるよ」


小さな頭を撫で、エリオットは笑う。

雛鳥に餌付けしていたと思ったら、今度はその雛が狩りをして自分に馳走してくれるらしい。


「…子育てって、面白いなぁ…」
「…?」












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ドラゴンを鉈で捌くヒロイン ←← 加工してベーコンにしても、保存がきいていいよ!ww

子育てとか言っちゃう旦那。嫁は嫁で食欲にまっしぐら。そんなファンタジー ← なんかもう…なんなんだww


案の定、アリアが回復魔法使った瞬間にエリオが驚いてた理由を回収する隙がなかったよ\(^O^)/


11/7/23

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