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short
3

「…やるじゃねえか」
「ん」


隣に並ぶ頭を、ぽんと撫でる。


――ギャァァァ…!


炎に巻かれてもがくドラゴンが、がむしゃらに衝撃波を放った。

いつの間にかギャラリーは避難していたのか、誰もいない観客席や、教師たちの側、勿論二人の立つフィールドにも飛来する。


「っ! 危ねえ!」
「わっ」


数発はアリアの風の結界で弾いたものの、そのせいで結界が乱れてしまったらしい。

自分の躰すれすれに飛んできた風の刃に、エリオットは咄嗟にアリアの小さな躰を自分のローブの中に入れて隠した。


「リオ!」
「いいから此処入ってろ!」


分散した衝撃波が、軽く頬や腕を掠める。

一方でエリオットの炎でもがいている竜は、徐々に力を失いつつあった。

衝撃波を放てなくなるのも時間の問題だろう。エリオットは更に魔法の火力を強めた。


「…丸焼きになりやがれ…!」


取り巻いた炎が巨体を嘗め尽くす。

とうとう飛ぶ力を失ったドラゴンは、どうと地面に落ちた。

其処へ降り注ぐ、複数の魔法。見守っていた教師たちのものだろう。ドラゴンはビクリと震えた後、すぐに動かなくなった。

その様子を見たエリオットは、面白くなさそうに呟く。


「……んだよ、俺たちの手柄だぞ」
「…?」
「あぁ、終わったから出てきていいぞ」


ローブの中に隠したアリアがもそもそと動くので、エリオットは躰を捩って彼女を外へ出してやる。

ぴょこっとローブの中から飛び出たアリアは、エリオットと見上げて大きな瞳を見張った。


「リオ、けが…」
「ん? あぁ、掠り傷な。大した事じゃねえだろ」


風の刃が頬を掠めた時に付いたそれは、文字通りの掠り傷だ。
軽く血は出ているようだが直ぐに止まるだろうし、この程度であれば癒師の回復魔法を使うまでもない。

けれどアリアは珍しく露骨におろおろし始め、下手をすれば先程ドラゴンが来襲してきた時よりも困った顔をしている。


「…お前、そんな気にすんなよ」
「…でも…」


ちょこちょこと近寄ってきたアリアが、精一杯爪先立ちをしてエリオットの頬に指を伸ばした。

…小さな指先がエリオットの頬の傷をなぞった瞬間、皮膚を浅く薙いでいた緋色がスッと消失する。


「…え、お前…」

「おーい、ロッド!」


エリオットが眼を見張ったのとほぼ同時、顔見知りのサラマンダークラスの教師が此方へ駆け寄ってきた。










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(ドラゴン)上手に焼けました〜ww

エリオットが驚いてる理由を、この話の中で回収出来る気がしない(^^;)


11/7/17

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