スメラギ
共生空間
「…鈴、これは?」
灯燈学園高等部寮1007号室、翡翠の私室。
テーブルの上に置かれた見覚えのないティーポットを目にし、翡翠は遊びに来ている鈴を振り向いた。
持ち込んだ紅茶をカチャカチャといわせていた鈴は、翡翠の示す物を見てぱっと表情を輝かせる。
「えへへっ、可愛いでしょう?」
「……あぁ、そうだな」
グリーンリーフのモチーフが描かれた、丸い形のティーポット。
勿論それも可愛らしい品だと思うが、そう言われてにこりと笑う鈴の方がもっと可愛らしかった。
「…鈴の私物だろう? 部屋で使っていた物とは、違うようだが…」
翡翠の方も幾度か鈴の寮部屋、420号室を訪ねた事がある。
当然お茶を出された事もあるが、鈴が部屋で使っていたポットはピンク色の花がモチーフの物で、サイズももっと大きかった筈だ。
確かめるようにポットの蓋を開けてみるが、此方の容量は500ml程か。使った形跡も乏しい。
「…新品か?」
「はいっ。…この前お店でセットで買ったんですよー。ほら、カップとかソーサーとか、シュガーポットもあります」
荷物から次々とティーセットを取り出した鈴は、翡翠のテーブルの上に並べていった。
カップとソーサーは、二セットずつ。ポットも二人でお茶を飲むのに適した大きさだ。
「……わざわざ、此処でお茶を飲む為に買ったのか?」
「えへへ…。この色、一目みたら気に入っちゃって…」
グリーンリーフの、目に優しい緑色。
ポットの模様部分を指先でなぞり、鈴は澄んだ飴色の瞳で翡翠を見上げる。
「緑色って、翡翠先輩に似合いますよね」
「……、そうか?」
「はいっ」
訊き返せば、にこっと笑って頷く鈴。
かと思えば、鈴はふと不安そうな表情になりおずおずと上目使いに此方を見上げた。
「あの…、此処で先輩とお茶を飲むのに、カップとか置いていってもいいですか……?」
「…あぁ、勿論。どうせ、スペースは余っているしな」
学生が一人で暮らすには、広すぎる生活空間。その中に彼の物が置かれれば、翡翠にとっても心地の好いものとなるから。
翡翠が頷くと鈴はまたぱっと嬉しそうに表情を綻ばせて、ティーセットを手に取った。
「あっ、じゃあ早速お茶淹れますね!」
「…あぁ」
可愛い彼が、自分と使う為に選んだ品。
少しずつこの部屋にそんな物が増えていくのに、翡翠は小さく笑みを浮かべながら倖せを噛み締めた。
(翡翠先輩っ! 今度はお砂糖も持ってきていいですか? 星型なかわいいやつ!)
(…あぁ、何でも持っておいで)
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雑貨屋さんをぷらぷらしていたら、思い付いた小ネタ(笑) 鈴は雑貨屋さんとか好きだと思うw 可愛い小物とか色々買ってると思うw
部屋に相手の物が増えていく、っていうのはそれだけよく遊びに来てるっていう証明でなんか萌えますよねv ……でもこの二人、まだ付き合ってませんがねww ←
雑貨屋さんで連れ回される翡翠の話も書きたいw 多分鈴の買い物は、女子並みに長いと思うww
11/10/7
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