[携帯モード] [URL送信]

スメラギ
3

「はーい、決まりました!」
「お、永峰元気いいな。…よし、それぞれ順番に黒板に名前書きにきてくれ」


的井教諭が黒板を叩くと、生徒たちは出席番号順に自分の出場希望競技を書き出していく。

バスケ、バレーにサッカーなどの競技はやはりクラスの中で得意な者がある程度決まっているらしく、スムーズに決まっていく。反面、卓球、ドッチボールには多少の変動もあるようだ。

ちなみに先程も言った通り、ドッチボール以外の種目には部活動がある。…しかし、それぞれの部活動に所属する生徒を入れられるのはチームに一人までと決められているらしく、そこで少々争いが起きている。

まぁ、争いとは言っても、最終的にじゃんけんで決まるような些細なものだが。


「鈴、順番」
「あ、うん」


後ろの席で出席番号も一つ後ろな雅弥に促され、鈴は席を立った。

その拍子に机が揺れ、やっと昼寝から目の覚めたデューイが、慌てたように鈴の頭の上に飛んで来る。

デューイを頭に乗せたまま、ドッチボールと書かれた下に自分の名前を書き込む。

クラスから微かなどよめきが上がった。何故だ。

バスケットボールの文字の下に名前を書き込んだ雅弥を待って、一緒に教壇を下りる。

友人の背に続きながら、鈴は口を開いた。


「ねぇ、雅弥君、ドッチボールって何かあるの?」
「何かって?」
「…さっき御門君が何か言いかけてたし、クラスのみんなのリアクションもなんか妙だし」
「あぁ、あれは喜んでるんだよ。鈴がいたら、ドッチボールでも勝てそうだから」


こう見えてもそれなりに自信のある運動神経を信頼してくれるのは嬉しいが、何だか含みのある言い方だ。

自分の席に戻って座ると、雅弥がまだ順々に生徒たちが名前を書き込んでいる黒板を指で示す。


「ドッチボールって、割と極端なんだよね」
「?」
「運動神経にあんまり自信がない子が集まりがちな競技なんだけど、一人が上手かったりするだけで周りが下手でも勝ち上がれたりする。だからね、ドッチボールは毎回展開が荒れる競技だよ」
「え……」


言われて改めて黒板を見てみれば確かに、ドッチボールの下に名前の書かれたクラスメイトは、体育でも目立たないというか逆に悪目立ちしがちという者が多い気がした。

バスケットやバレーのチーム戦では足を引っ張りそうな生徒は、どうやら進んで卓球やドッチボールを選ぶらしい。どこのクラスもそのような感じなら、確かに荒れそうだ。


≪  ≫

3/18ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!