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アットホーム・ラブライフ
手のひら比べ

私が小さいのか、それとも彼が大きいのか。


「…いや、私が小さいことくらい、昔から知ってはいるがね」
「その割にはちょっと拗ねてない? 桐」


稜也が苦笑いしながら第一関節を折り曲げるのを、じっと見つめる。

…いや、全然拗ねてなんかいないよ? 戯れに稜也と手のひらを合わせてみたら、関節一つ分どころか二つ以上違ったくらいの事で、拗ねてなんか全くいないよ?


「拗ねてるんじゃん」
「……拗ねていないよ」


クスクスと笑う稜也の声に、ぶすくれた声で応える。…明らかに拗ねている人間の態度だ。


「…仕方ないよ、桐は女の子なんだからさ。小さくて可愛い手だと思うよ、俺は」


ぺたりと互いの手をくっつけ合わせたまま、稜也はフォローするように言う。

…男女の違い、性差だと言ってしまえばそれだけの事。それくらい、私にだって分かってはいるのだがね。

それでも少しだけ、どうしてか面白くないんだよ。


(…それはきっと出来る限り、私が稜也と平等でいたいと、思っているからなのだろうね…)


一つ歳上の、兄のような存在のルームメイト。

世話好きで、何だって軽く人並み以上にこなしてしまう彼の、ただの“保護対象”では終わりたくないと、心の何処かでいつも思っているから…。

ぎゅっ、と合わせていた手のひらを握ると、稜也がぱちりと瞳を瞬かせる。


「どうしたの?」
「うん? …稜也はズルい、と思ってね」
「は? …え、仕方なくない? 俺男なんだしさ…」


困ったように笑う稜也に、私は拗ねたような表情を返してみせる。

別に、それだけを言っている訳ではないのだよ。


「桐の手は小さくて可愛いし…、うん、女の子らしくていいと俺は思うよ」


指を絡ませて手を繋ぐようにしながら、私を慰めようと慌てる稜也に小さく笑った。

ほんのりとその頬が赤いのは、照れているからだといいな。



手のひら比べ

(いつかその隣に並びたくて)












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稜也←桐っぽい桐視点。

…本当はこの時点で稜也にとって桐は妹以上だけど、あんまり態度には出してこない。先に態度に出したりアプローチをするのは、桐の方。そんなアプローチを桐の無自覚だと思って、稜也は悶々すれば良いさ(笑)


11/7/3


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