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アットホーム・ラブライフ
カラフルポップ・ビート

「…長兄の名前が菊(きく)で、順々に藤(ふじ)、柳(やなぎ)、牡丹(ぼたん)、桜(さくら)だ」
「…で、末っ子の妹が桐か」


…しかし、男五人の下にたった一人末っ子の妹とは。彼女はたいそう蝶よ花よと可愛がられて育ったのだろう。

そんな風に考えていると、桐は「よく言われるよ」と呟いた。


「今俺、声に出てた?」
「いや? でも、何を考えているかはすぐに分かったよ」


六人兄妹の事情を話せば、100万回言われる台詞なのだろう。

苦笑いする桐に、俺も肩をすくめた。


「…さて、稜也くん、ここで問題だよ」
「何でしょうか、桐先生」


…素で口調が博士とか教授っぽい桐なので、こんな事を言うとちょっぴり様になって面白い。

白衣なんかを着せてみたい気もするが、おそらく裾がずるずるになるだろうから想像だけに留めた。


「更科家の兄妹の、名前の共通点は何だと思う?」
「…植物…じゃなくて?」
「そんな誰でも分かるような問題など、私はわざわざ出さないよ」
「だよなぁ…」


上から、菊、藤、柳、牡丹、桜、桐。…何だろう、何となく知っている気がするんだけど…。

何となく天井を仰いで考える俺に、クスッと楽しげに笑った桐の声が聞こえる。


「…難問かい?」
「んー、喉の奥まで出掛かってるんだけどなー…」


まるで魚の小骨でも引っ掛かっているような、スッキリしないカンジの錯覚。

床に座る俺を見下ろすように覗き込み、彼女は何処か楽しげに言う。


「ではひとつヒントをあげよう、私は12月生まれだ」
「12月…?」


月に関係ある植物…ってか…? んー、桐が12月………あ。


「花札?」
「ぴんぽーん、正解だよ、稜也くん」
「ありがとう、桐先生」


何だか楽しそうなルームメイトを見て、何となく俺も楽しくなる。

…なるほど、桐は12月生まれなんだな、覚えておこう。



カラフルポッ・ビート

(何気ない色付いた日常)












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花札兄弟(笑) 入居〜段々打ち解けてきた頃くらい。

まだ稜也が兄たちとの接触がほとんどない頃。


11/7/1


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