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書きかけ放置文まとめ
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* * *



「…んっ……」


シャッ、と軽く高い音。瞬間眩しくなった瞼の裏に、俺は無意識のうちに軽く唸り声をあげた。

キシリと軽くベッドの軋む音。素肌を晒す肩に触れる感触。揺する訳でもなく、ただ柔らかに触れる指先に、緩く首を振る。


「や…」
「……そう? もう少し寝ている?」
「ん……、…ん?」


柔らかな、耳を擽るように心地好く響く低い声音。

今は穏やかな、聞き覚えのあるその声に、俺は不透明だった意識をハッと浮上させた。


「…っ!?」
「…あぁ、起きた?」


ぱっと瞼を持ち上げると、ベッドの端に腰掛け、昨日の様子が嘘のように穏やかな瞳で此方を見下ろす白銀の髪の男。

昨夜満月の光の下では紅く輝いていたその瞳は、今朝陽の下で見上げれば透き通るようなハニーゴールドだ。


「…ぁ…」
「…? どうしたの?」


小さく声を漏らした俺に瞬いた彼は、緩く首を傾げながら俺の頬を柔らかな手付きで撫でる。

その感触は心地好いものだったが、今はそれを甘受している場合ではない。


「…ぁっ…、っ、き、昨日っ…!」
「昨日? …あぁうん、ご馳走様」


ぼやけた様子で首を傾げた男は、ふわりと微笑むと優しく俺の髪を撫でた。

絶対アンタ顔に似合わず天然の類だろ、などと内心で悪態を吐くが、今取りたてるべきはそんな事ではない。


「昨日…、さっ、最後まで……」
「…覚えてないの?」
「………覚えてる」


ぱちりと瞬いたハニーゴールドに、絶望的な声で首を振った。

覚えている。…満月の誘惑に、この男の魅惑に、全てを晒し曝かせた事を。

…一夜の勢いで、俺の一生を左右する<契り>を交わしてしまった事を。

さっと顔色を無くした俺を見て、男は不思議そうな顔をして頬を撫でる。


「どうしたの? もしかして貧血? 昨日、出来るだけ抑えたつもりだったんだけど…」


彼の言葉に、ふるふると首を振る。

それも全く無い訳ではないけども、これはとんでもない事を仕出かしてしまった精神的なショックで青ざめた訳だから。


「……っ、雄の<カラダ>で、最後までしちっまった……!」
「…?」


俺の呟いた言葉に、男はきょとりと瞳を瞬かせた。

どうやら相手は、淫魔族の性質を知らないらしい。

……まぁ、普通はそうかもしれない。淫魔族はかつては保護され、隠匿されていた種族で、今となっては殆ど生き残りは居ない。彼の一族の習性、血の掟など、他種族にとっては関わりのない事だったろう。

けれど、知らなかった、では終わらない。…彼にとってもだが、何より俺にとっては。


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あきゅろす。
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