書きかけ放置文まとめ 8 ※ 行き場のない腕で男の背に縋りつくと、一層に突き上げが激しくなる。 「――!! …っふ…、…あぁぁっ!」 一瞬離された唇から漏れる疳高い声は、誰のものだ。…俺のものだと分かっていながら、信じがたいような甘ったるい嬌声だった。 快楽に首を振り乱し、引き締まった男の肩にしがみついて啼き喘ぐ。 …いくら淫魔に生まれついた身とはいえ、内から狂わされる満月の夜だとはいえ、こんなにも乱れた事はない。 ――それは、相手がこの魔族の、この上も無く魅力的な男だから? 「ふっ、あぁぁぁぁ…っ!」 「…はっ、…っ、堪らない…!」 低く掠れた、…追い詰められた雄の声。 もっと乱れて。もっと狂って。俺しか見えなくなるくらいに。 …俺ばっかり惹かれてるだなんて、不公平だろう? 「あっ…、んぅっ!」 「…ふ…」 嬌声を零す唇に噛み付かれ、口の端に小さな疵を付けられた感触と共に錆びた味が口の中に広がる。 口付けをしながら血を求めてくるとは、相手にもとうとう余裕が無くなってきた証拠か。 ピリピリとした唇の痛みに眉を寄せながらそれすらも快感に転化する俺も、相手の事は言えないけれど。 言葉を奪われている俺は、躰を相手に密着させ、態度をもって更なる快楽を…彼の精を強請った。 「…んぅっ…!」 「ん……は、…あぁ、貴方も欲しいんだね…」 「んっ…!」 貪る唇を離し、ぎらつくガーネットが獣のような笑みを象る。 俺は相手の肩にギュッと腕を回し、意識して“香”を振り撒きながら腰を揺すった。 「…はっ…、…早く、アンタをちょうだい…!」 奥に全部注ぎ込んで、満足させてよ。 本能だけでそう囁けば、内に呑み込んだ彼の熱がドクリと脈打ったのを感じた。 愉悦にゆるりと口の端が吊り上がる。 「…ははっ、貴方も渇いてる…ね!」 「あぁぁっ! …っ、んなの…お互いさまっ…!」 激しい動きに飛びそうになる意識を抑え、笑う男に応える。 俺たちは、本能に突き動かされる魔物だ。…そしてきっと、似た者同士。 「あっ! あぁ…っ、…もっ、早く…!」 「ん……も、ちょっと…っ」 「あっ…ゃ、だめ…もっ、きちゃう……あ、あぁぁぁぁぁっ…!!」 「…んっ…!」 堪え切れずに俺が達したのに応えるように、胎内の熱が脈打って中に熱いものが吐き出される。 熱い、熱い。求めていた熱さで、胎内が満たされていく。 一滴残らず絞り取ろうと俺が緩く腰を揺らすと、眼を細めた男はまた俺の首筋に牙を立てた。 「んぁっ…」 「ん、まだまだ…」 満月は赤く輝き、俺たちの渇きはまだ満たされない。 11/5/28 ≪ ≫ [戻る] |