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書きかけ放置文まとめ
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アークライン少佐と同じくゼルディア直属の隊に所属する部下の一人、ナターリア=エラルド中尉は、敬愛する上官の執務室に到底似合わない可愛らしい巨大な物体を見て、完全に停止してしまった。

部下が固まっている理由を本当に分かっているのかいないのか、…相変わらず何でもないような態度でアスハを膝の上に乗せながら、ゼルディアは硬直している中尉を振り向く。


「何の用事だ?」
「…………。…は、あ……申し訳ありません、この報告書なのですが……」


暫しのタイムラグの後、漸くフリーズだけは解除し、エラルド中尉は戸惑いながらも手にしたファイルを示した。

そして改めてゼルディアを振り向き、上官の膝に座っている少女、ソファーで紅茶を楽しんでいる少佐を見て眉をひそめる。


「……」
「どうした」
「…いえ」


生真面目な性格の彼女からすると、ソファーに座りお茶など飲んでいるアーサーは、上官の執務室でサボっているようにしか見えないのだろう。…アスハを見て表情を歪める理由は、またそれとは毛色が違うのだが。

エラルド中尉の美しいがキツい印象を与える顔をちらりと見やると、アスハはゼルディアの膝に座ったまま再び本を開いた。

アスハが書物に、ゼルディアが受け取ったファイルに視線を落としたのを見ると、エラルド中尉は本来この執務室に似つかわしくない少女をキツく睨んだ。

その視線は、真面目で厳格な士官のものではなく、一人の女性のもの。…それも決して麗しいものではなく、醜悪な一つの感情に起因するものだ。

一応アスハやゼルディアの視線は気にしているようだが、カップに口を付けるアーサーにはバッチリと目撃されている事を、彼女は気付いているのだろうか。


(…やれやれ、女ってのはおっかないなぁ…)


テーブルの上のビスケットに手を伸ばしつつ、アーサーは肩をすくめた。

エラルド中尉がゼルディアを上官としてだけでなく、異性として慕っている事をアーサーは知っている。その恋情は本人の口からは絶対に語られる事はないが、態度から知れる。

朴念仁な気のあるゼルディアも、おそらくは向けられる感情を知っているだろう。気付かれていないと思っているのは、本人のみだ。

…気付かれていないとでも、彼女は本当に思っているのだろうか。その悋気にまみれた視線を、賢い少女も、気配に敏感な将軍も、直接見てはいなかろうと感じているだろうに。


(…これだから、駄目なんだよ。ねぇナタリー?)


クス、漏らした笑い声にすら、中尉は気付かない。


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あきゅろす。
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