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書きかけ放置文まとめ
くすぐったい愛などを

血の色のような真紅の瞳が、グラデーションを描くようにゆっくりと平素の蜂蜜色に戻っていく。

ああ、今宵はひとまずこれで終わりらしい。気怠い躰をあまり動かさないようにして空瀬の顔を見上げながら、星那はぼんやりとそう思った。

自分では確認する事が出来ないが、おそらくは星那の瞳も空瀬と同じように黒に戻っているだろう。はぁ、と星那はうっすらと濡れたため息を吐き出した。


「ごちそうさま」
「……お粗末さま」


にこり、とその魔性の美貌を綻ばせてそう言った空瀬に、星那は掠れた声で応える。

無意識に、最中幾度も空瀬の牙を立てられた首筋に指をやる。確かにこの場所に穴を空けられた筈なのだが、いつの間にか治療されていたのか既に触れて分かるような痕跡はない。

満足した。もう腹もいっぱいだ。星那の方も、空瀬の方も。

星那と空瀬の情事は、それぞれの食事と同義だ。互いに満足し合うまで伴侶を−−至高の獲物である相手を貪り合う。

それでも今宵は月齢が若い夜であるからまだマシな方で、出逢った日のような満月の夜とは比べものにならない程穏やかな行為ではあった。勿論、魔族と半魔族である二人の基準での話だ。


「星那」
「……ん」


このように、事後の甘い余韻を二人で共有する余裕があるのだから優しい方だ。

こめかみに触れるだけの紅い唇を目を細めて受けながら、星那は小さく笑う。

空瀬に甘やかされるのは好きだ。互いに魔性の本能のままに貪り合うのも自分たちらしいとは思うけれど、こうしてゆっくり甘くじゃれ合うのもいかにも『伴侶』との触れ合いらしくてこそばゆい。

軋む躰を少しだけ伸ばして此方からも空瀬の頬に口付ける。魔性を覆い隠した蜂蜜色の瞳が、くすぐったげに細められた。


「……こういうの、好きだな」
「ん?」
「こうやって『食事』抜きにじゃれ合うの。くすぐったいけど、満たされてるみたいで、好き」
「うん。自分も、好きだよ」


そう言ってまた、空瀬の唇が稚拙な仕草で頬を滑る。


「星那、好き。自分の、愛しい伴侶」
「……空瀬、好きだよ」


直情的な始まりは、とてもこんなくすぐったい愛情を感じられるようなものではなかったけれど。

触れる度に甘く育まれる愛も、あるのだ。


「……貴方が伴侶で良かった」
「うん。……俺も」


枕の上に落ちた手のひらを握り返して、星那は微笑んだ。
















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うつせながいちゃいちゃしてるだけ(笑) 月齢が若いと、空瀬と星那にも多少の余裕と理性があります。あくまで、普段の空瀬と星那基準での話ですww


14/10/31

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あきゅろす。
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