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俺様会長と無関心
2

寮内にある食堂に電話し、とりあえずデミグラスハンバーグを頼んだ。…食べているところを見た事があるから、少なくとも苦手ではない筈だ。

待ち時間の間に寝てしまいそうな都を横抱きに抱え、ベッドからソファーに移す。

横抱きにされた事が気にくわないらしく、腕の中で都は足をぱたぱたと動かした。


「…どうしてこんな体勢なんだ?」
「自分で動く意思が全くなさそうだったからな」
「…ちっ」
「舌打ちするな」


まぁ、そこまで本気で嫌がっている訳ではなさそうだが。

易々と持ち上げられている事が、流石に男として不満らしい。
…案外可愛らしい都に高雅が内心で悶えているなど、勿論都が知る筈もない。

そうこうしているうちに部屋に届けられたハンバーグを、ローテーブルに並べてやる。

食事をする為の場所ではないので少し行儀が悪くなってしまうが、そんな細かい事は高雅も都も気にしない。


「…美味いか?」
「あぁ」


もぐもぐと無言で食事を続ける都を、高雅は向かいのソファーから眺める。

高雅の視線に気付いた都は、何?、と言うように小さく首を傾げた。


「…人の気も知らないで、お前は本当に呑気だな」
「…人の気?」
「…あー、何でもねぇ忘れろ」


つい口が滑り漏れた台詞に、高雅は頭を掻きつつ言った。

こう言えば、都は素直に忘れる。そう思って。

しかし都は、高雅の言葉に幾度か瞬きをし、首を傾げた。


「…忘れていいのか?」
「あ?」
「忘れて欲しくない、って顔をしてる」
「………」


そう言う都は、至って普段通りの無表情。それはもう、当たり前だと言うように。

高雅は思わず言葉を失う。


「お…まえってヤツは…!」
「何?」
「鈍いくせに卑怯だぞそれは!」
「だから何が?」


叫んだ高雅に何でもないように応える都の頬を、思い切り抓り上げる。


「高雅、痛い」
「痛くしてんだよ!」
「…高雅は乱暴だな」
「テメェはタチが悪いよな!」


言いながら赤くなっている高雅の顔を、都は見上げる。

…都には彼の言う事が分からない。だから訊き返す。


「…高雅、俺は他人の事を考えたりするのは苦手なんだ」
「んな事は知ってる」
「だから、分かるように言ってくれなきゃ、分からない」


自分を見上げる都の瞳に、高雅は暫し声を失う。…が、小さく首を振った。


「………、俺様の言う事、理解する気があんのかよ」
「あぁ」
「……お前らしくないな、都」
「…そう、かもしれない」


他人への関心が極端に薄い、佐藤都。

寮生活で家族とすら関わりの薄い彼にとって、高雅のような存在は初めてなのだ。

だから何が『正解』なのか、都には分からない。…だから、訊ねるしかない。


「俺様は、お前にとって特別か?」
「……きっと、そうだな」
「…ならいい。今はそれで充分だ」
「高雅、…!」
「………この先は、お前にはまだ早い」


言いかけた都の唇を一瞬だけ、塞ぐ。

それだけで呆けたような表情を晒す都には、まだ高雅を受け入れるには足りない。


「…時間は、まだあるんだ」


焦らなくていい。

…それは自分と都、どちらに言い聞かせた台詞なのか。










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無関心続き。…思ったより真面目な展開になったよ!(笑)

俺様(笑)はヘタレフラグw
都は案外直球型。…経験値が少なすぎて、変化球とか知らないんです。


…続く、のかなぁこれ(笑)


→10.5.12 薄衣砂金

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