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俺様会長と無関心
7

朱い唇から更に紅い舌が覗き、ペロリと濡れた口の端を舐める。

…あの紅が、先程まで自分の口腔内を侵していたのだとぼんやりと思い、無意識にとろんと瞳を溶かした。


「…都」
「ん…」
「んな眼で、見てんじゃねぇよ」
「…ァッ」


無意識でも欲情の浮かんだ瞳で見上げられて、男が興奮しない訳もなく。

昂ぶった熱を再び都の腿に押し当てれば、小さな声で都が啼いた。

落ち着かなさげに身動ぎする都に、高雅は深く息を吐いてその耳元に囁く。


「……、逃げるなら、今のうちだぞ…」
「ふっ…?」


逃げる? 都は一瞬その言葉が理解出来ずに首を捻った。

その仕草をくすぐったさから逃れるものだと思ったのか、高雅の唇が耳元から離れる。…離れていくそれを、寂しいと感じた。


「…ど…して?」
「…あ?」
「はじめに、俺を『食べる』って言ったのは高雅だ…」


はじめはパクリと取って食べられるのかと思って、ビックリした。

けれど、その意味が別にありそうだと気付いて、それを探し始めた。彼の真意を、知りたかった。

そうして、辿り着いた答え。…都がそれを知れば『食べ頃』になるのだと、高雅は言っていたのではないか。


「…どうして今更、俺に逃げ道をくれるんだ?」
「……俺は、お前に無理強いしたい訳じゃねぇんだよ」


腿に触れる彼の熱は、しっかりと昂ぶっているのに。吐いたため息はまだ、熱いのに。

鈍い都にでも余裕が無いだろうと察するのは簡単なのに、それでも都を気遣ってくれる高雅は優し過ぎる。

胸がきゅうと締まるような、この感覚は何だろう。たまらなくなって、都は高雅にしがみついた。


「っ、都…!」
「…俺は別に、無理とも嫌とも言ってない…」
「!」


肩口に額を擦り寄せる都に声を揺らした高雅が、続いた台詞に息を呑んだ。

…彼の腕を嫌だと思った事はない。初めから、高雅の体温に包まれる事は心地好かった。


「高雅が嫌だと、思った事はない。思わない」
「…っ、この馬鹿…!」


ハッキリと告げると、切羽詰まった声で呟いた高雅にキツく抱き締められる。

少し痛いくらいの力。それでも、嫌いじゃない。

引こうとしてくれた高雅を繋ぎ止めた、“煽った”自覚はあったのに、けれど高雅はまた都から躰を離した。


「高雅っ…」
「だからそんな眼で見んなって。…此処じゃ流石にマズいだろうが」
「…? 此処でも出来ない事じゃないだろう?」


事実、隣の空き教室で及んでいる人たちは居た。だから、別に此処でも構わないのではないだろうか。

やはりズレている都に、高雅は深くため息を吐く。


「初めてのお前にゃ荷がキツい。…いいから大人しく着いて来い」
「…ん」


腕を引かれて、資料室を出る。

向かうのは寮のようだ。


「…もう、手加減してやんねぇから」


煽ったのはお前だ、都。

高雅の言葉に、こくりと頷いた。















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無関心シリーズ、都が遂にやらかすお話でしたw

ニブニブの都ですが、いざとなったら引きません、押します(笑) 天然故、思い込むと割と一直線ですw

高雅は都を大事にしているので、ギリギリまで堪えて都を気遣ってます。別にヘタレなんかじゃ…ないですよ?w


そして何となく登場しちゃった、都の兄雅。
始めのSSを書いた時点ではほとんど背景が決まってなかった都ですが、無関心ながらも家族には愛されているようですw

雅をカウンセラーにしたのは、他人に全く無関心な都に対し、“人間”を相手にする職に着いてる兄、っていう対比をしてみたかったから。多分、都の他人に関する興味は、全部雅が持っていきました(笑)


さて、次回は遂に吹っ切れた高雅がやらかしてくれるでしょうw やー、やっと収まるトコに収まってくれるよこの二人もw


→10.9.21 薄衣砂金

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あきゅろす。
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