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蜂蜜砂糖 log
八雲とちびちゃんと俺 A

…いや、あの呑気なちびちゃんのこと、自分が八雲に執着されているなど、露にも思っていないのかも知れない。

この八雲が、“気まぐれ”で誰かを側に置いておく事だなんて、有り得ないのだと全く知らずに。


「……ご愁傷様、だな」
「…ご馳走さま?」
「違えよ」


たこさんウィンナーを箸で抓んだまま、惚けた事を言いやがる。

いや、俺が何を言いたいのかを知った上で空惚けているのかもしれないが。…何とか隣にいても殴られないレベルには親交を深めているつもりだが、まだまだ八雲も考えている事は分からない。


「……お前はさ、あの子をどうするつもりなんだ?」


“ペット”だなんて戯言が通るのは、あの子が一時期に親元を離れた学生だからで。

そう遠くない将来、八雲はあの子を手放すつもりなのだろうか。…そういうつもりには、毛頭見えないが。

俺の問いの意図を理解したのか、箸を手にしたまま八雲がクスリと笑う。


「…別にどうもしない。あの子は、僕のモノ」
「…………」


素っ気なくも感じる、簡潔な返答。けれど、その言葉には絡み付くような執着が見え隠れしていた。

決して手放すつもりはない、と。

現状維持のまま、あの子を真綿の首輪でじわじわと飼い殺すつもりなのか。背筋をぞわぞわと冷たいものが伝ったような気がして、俺は首を振った。


「……んな事が、通るのかよ…」
「出来るよ。あの子には、僕しかいないんだから」
「……」


二度目になるその言葉。

微笑む八雲にどことなく恐ろしさを感じたが、一方であの子の状況も俺が思うよりも深いものなのかもしれないと思った。

八雲に囚われても、あの子には誰も救いの手を伸ばさないのだろうか。…八雲が、そうさせないのだろうか。


「…恐ろしいヤツだよ…」


俺の呟きに八雲は片眉を上げたが、反論する事はなかった。

食べ終わった弁当をしまうと、不意に立ち上がる。


「……帰ろう」
「は?」
「話してたら、綺の顔が見たくなっちゃった。…帰る」
「は、いやおい、ちょっと待て!」


俺の制止なんか、もちろん八雲が聞く筈もなく奴はさっさと屋上を出て行く。

八雲のことだ、あれは本気で帰宅しただろう。


「……つか、平日の昼間だけどちびちゃん居るのか…?」


俺は首を傾げた。まさか八雲が、ちびちゃんの学校に直行したなんて事は知らないまま。












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また途方もなく間が開いた話になってしまいましたがっ!(土下座)

ピンクさんこと牡丹が八雲に色々ぼやく話でしたw 綺視点だと分かるようで分からない、八雲さんの執着具合が浮き彫りになってますww

八雲さんは八雲さんなりに、綺をホントに可愛がってますよ ←


【蜂蜜砂糖 にじゅうさん】 11/10/18

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