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蜂蜜砂糖 log
俺と八雲さんの月夜 A ※

* * *



「ん……く」


ベッドに座った八雲さんの足元にしゃがみ込んで、彼の熱を銜える。

この人と肌を合わせるのは初めてじゃないし、奉仕する事にも今更抵抗はない。…まぁ、初めての時だって戸惑いはすれど、嫌悪などはなかった訳だけど。

口に銜えた彼の熱を吸い上げたり舐めたりしていると、さらさらと彼の手が俺の頭を撫でてくれた。
…愛でられているような感覚が何だか嬉しくて、俺は応えるように奉仕に没頭した。


「は…むぅ……ぐ…」
「ん…綺…」
「…む、…やくもさ…きもちひ……?」
「…ん」


口を離さずに目線だけで彼を見上げれば、心地好さそうに目を細めている。

もっと奥まで銜え込もうと顔を埋めたが、不意に八雲さんの手が俺の額を押して、俺は彼の熱から口を離した。

どうしたのかと顔を上げると、甘えるように微笑む綺麗な顔。


「…八雲さん?」
「ん…大丈夫だから…。…綺、いい?」


何を訊かれているかは、今更。

こくりと頷いた俺は、ベッドに座った八雲さんに促されるままにベッドに上がった。

キングサイズのふかふかのベッドは、八雲さんと俺と二人の体重を受けても耳障りにスプリングが軋んだりはしない。
ふわ、と沈み込むマットレスに足を取られ転んだ俺は、八雲さんの胸に飛び込んだ。


「あっ…、ごめんなさい…」
「…自分から来て…、エラい子だね、綺は」


柔らかく表情を緩め、俺の頭をよしよしと撫でてくれる八雲さん。…褒めてくれるのは嬉しいけど、ちょっと何か違う気もして俺は首を捻った。

ぎゅう、と躰を抱き締められて、八雲さんの唇が首筋に落ちてくる。

柔らかいものが肌をなぞる感触。…痛みは感じない俺だけど、これは少しこそばゆい。

ちゅう、と項を吸い上げられる。痕をつけられたみたいだ。…触れられるのとは違う、少し不思議な感触。


「ん、八雲さん…」
「……ん」


名前を呼ぶと八雲さんは顔を上げて、肌を滑らせていた指を俺の口元へ近付けてくる。

躾の行き届いた俺は、それを躊躇わずに口に含んだ。…指の一本一本を湿らすように、丹念に舐め上げる。


「は…ふ…、…んぐぅ」


素直に舐められてくれればいいのに、彼の指は勝手に俺の口腔内を掻き回す。…思わず歯を立てちゃいそうになるから、止めて欲しい。

上目遣いに八雲さんを見やっても、彼は紅い唇を薄く歪めて笑うだけ。


「…む…ぅ」
「…なぁに、綺?」


…この人が最凶不良だとか、俺には分からないけど。苛めっ子だってのは確かだ。何ですか、その愉しそうな表情。

ちゅく、と水音をたてて指が口の中から引き抜かれる。…濡れた糸を引くその様が、とても卑猥。


「綺」


おいで、と笑う飼い主の声。逆らう気もない。


「…八雲さん」


求めてくれるのが、嬉しいんだ。…だって俺は彼のモノで、彼の役に立てない俺に意味はないから。


【蜂蜜砂糖 じゅうなな】 10/4/18

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あきゅろす。
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