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蜂蜜砂糖 log
ぬくもりの居場所

ゆっくりと、砂凪は閉じていた瞼を持ち上げた。


──眠れない。


…時折、ある事だ。例え彼の隣に居ようとも、この[異世界]で言い知れぬ胸騒ぎを感じる事は。


「…ん」


隣に居る桐琉は、静かに瞼を閉じている。おそらくは眠っているであろうから起こしてしまわないように、砂凪はゆっくりと半身だけを起こす。

銀色の月明かりが照らす世界。…遠くの微かな虫の声と、仲間たちの寝息だけがこの世界に存在するような、冷めた静寂。


「…どうした?」
「わっ…?」


突然かけられた声に振り向けば、眠っているのだとばかり思っていた桐琉が傍らで瞼だけを開いて此方を見上げていた。


「…あ…すみません、起こしちゃいましたか?」


すぐ傍らで砂凪が身を起こしたから彼の眠りを妨げてしまったのかと思ったが、彼は気にするなと首を振った。


「…いや、お前がちょっと身じろぎしたくらいで目が覚めたって事は、元々眠りが浅かったんだろ」


そう言った桐琉は寝転がったまま、上半身だけを起こして布団を握り締めている砂凪の手を取った。


「どうかしたか?」
「あ、いえ…ただ…」
「眠れない、か」
「はい…」


言われ、砂凪は俯いた。…眠って、休んで、明日に備えなければいけないのに。

自分が体力を温存しておかなければ、それだけ桐琉に迷惑がかかってしまう。ただでさえ、体力のない自分は彼にフォローをしてもらってばかりだというのに。


「……とりあえず、布団に入っておけ、躰を冷やすぞ」
「あ、はい…」


軽く枕を叩いて促され、砂凪は言われたとおりもそもそと彼の隣に潜り込んだ。

毛布を肩まで被ると、桐琉が寝返りを打って砂凪と向き合う形になる。ゆるりと瞬けば、優しく髪を撫でられた。


「…大丈夫。だから、安心して寝ろ」
「…桐琉先輩…」


緩く髪を梳かれる感触に、砂凪は目を細めた。

それだけでももちろん心地好いのだけれど、けれど今は堪らなく彼に甘えてしまいたい気分で。


「あの…」
「ん?」
「ギュッって…してもらってもいい…ですか?」


少し恥ずかしげに、毛布の端を握り締めて。

上目使いに強請られた桐琉は、ぱちりと一度瞬いて、小さく笑った。


「…ん」


その小さな躰を抱き寄せ、ふわりと柔らかな髪の毛に口元を埋めた。


「…ホラ、もう寝ろ」
「…はい」


彼の温もりに触れていられるなら、ゆっくり眠れそう、だなんて。

大抵、自分も単純だ。















年の瀬も頭が沸いている、かわいそうな薄衣です! ←

砂凪に「ギュッって、して下さい」、と言わせたくてたまらなくなり、ムシャクシャしてやらかしました ←← まぁ、最終的にちょっと違った台詞回しになってしまいましたが…

多分、旅の途中で野宿をしている感じ。砂凪と桐琉は添い寝がデフォです(笑)


まだまだ太陽と月は話が進んでないので、ネタバレにならないようなまったりした話じゃないとな… ← 早くイチャイチャが書きたいぜw


【蜂蜜砂糖 じゅうよん】 09/12/31

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あきゅろす。
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