世界はユートピア
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「……でさでさっ、テニス部の部長とエースのカップルが、超可愛くて美味しくてっ！」
『ツンデレ後輩受け的な？』
「的なっ！ しかも包容力攻めでとても美味しいっ！」
『…うーん、それやったらウチは鬼畜溺愛攻めの方が好みやなぁ…』
『俺は好きだよ、包容力攻め。勿論優等生だろ？』
「モチロンっ！ 流石はひぃちゃん、分かってる〜」
『やだわぁ、ウチだけ仲間外れみたいやん』
「さっちゃんのヤツも悪くないと思うよ。ネタ的には全然おっけー！」
どうも、初っ端から盛り上がってますが、こんばんは！ 毎度お馴染み、腐男子の梼君でっす(キラッ☆)
今は俺の幼なじみで腐レンズでサークル仲間な二人と、Skypeでお喋り中。
冷静な語り口だけどがっつり俺の好みと合致した発言を返してくれる方が、藍川氷芽(あいかわ ひめ)、通称ひぃちゃん。柔らかい京訛り擬きが特徴の方が、東條皐月(とうじょう さつき)、通称さっちゃん。二人とも他校に通っている。
俺ら三人は幼稚園からの付き合いで、小中学校も同じトコに通ってたんだけど、高校はそれぞれ別の全寮制男子校を選んだ。何でかって勿論、萌え探しの為だけど何か？
だって、いくら学園が王道でも、必ずしも王道転校生が来る訳ではないと思うし！ 良いネタを回収する確率を上げる為にも、俺らは手分けする事を選んだ訳だ。
現に、ひぃちゃんとさっちゃんのトコロには、それぞれ王道転校生がいるらしい。…まぁ、カップリングは非王道まっしぐららしいけど。それも充分美味しいからいいけど！
だってさ、さっちゃんとひぃちゃん自身が、それぞれ非凡脇役受けフラグ立たせちゃってるしね。本人たちは最初は否定してたけど、最近は避けきれないトコロまで来ちゃってるみたいだから諦めたみたい。俺は美味しいからいいと思うよ！
…まぁ、俺は俺で何故だか王子様な彼氏と何故だか結ばれちゃったりしてる訳だから…うん、お互い様なのかな。二人には笑顔でグッジョブ言われたし。
話が長くなっちゃったけど、今日はいつもの萌えネタ報告会…と言う名の雑談タイムだ。
俺たち幼なじみは基本仲良しだから、頻繁に連絡を取り合ってはこうしてオンラインとオフラインでだべっている。
「…で、さっちゃんのトコは最近は〜…」
「梼、何してるの？」
「ほぁぁぁぁっ!?」
何の前触れも気配も無く、真後ろから甘いテノール。
イヤホンをしていない方の耳に囁き込まれた美声に、思わず俺は絶叫してしまった。
…うんごめん、今のは絶対ハウリングした。Skypeの向こうのひぃちゃんさっちゃん、まじでごめん。
それはともかく、俺の部屋でいきなり俺の背後を取れる人なんてのは一人しかいない訳で。
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