[携帯モード] [URL送信]

junk
ロリ戦士さんとロリコンエルフさんの話(仮) 4

「ぐふっ……」


なんだかんだで先程の応酬では直接攻撃は負っていなかったハロルドは、不意打ちで急所に入った鈍痛に呻き声をあげた。それでもミリスの手は離さない辺り、彼の本気を感じる。


「……意味が分からない」
「…、言葉通りの意味ですが……」
「私は、お前には非難される謂われが無いと分かっていながら、お前を害した人間だぞ」
「葛藤と自責に揺れるその瞳も、素敵ですよ」
「……」


歪みのないハロルドの応えに、ミリスはその幼さの残る顔にめいっぱいの戸惑いを浮かべて目の前に跪く青年を見下ろした。

まだ幼い少女は異性に口説かれる状況に耐性がないのだろう、反応に困っているらしく口を閉じて相手を見やるのみだ。そんな少女にエルフ族の整った容貌でとびっきりの微笑みを向け、その指先に再び口付けを落とした。


「私の時間を、貴女に捧げさせてください、ミリス」
「…………」


ハロルドとしては限りなく真剣な気持ちで伝えた言葉に、たっぷりの沈黙の後でミリスはため息を吐いた。


「……行動に非はないが、やっぱり少し、螺子が飛んでいるんだな」
「まぁ一族の中でも、少し変わっているのは事実ですがね」


エルフという種族は深い森の奥で、狭いコミュニティを作って暮らしているのが普通だ。人間より長い寿命と美しい容姿、高い魔力を持つ彼らは、しかし通常であれば人間や他の森のエルフなど外界との交流は極端に乏しい。

そんな閉鎖的な環境に嫌気が差し、ハロルドは数十年程前に森を出奔した『森抜け』のエルフだ。こうしたエルフは居ない訳ではないが、数としてはただでさえ少ないエルフの母数から考えても全体の一分にも満たない程度。変わっていると言われれば、確かにその通りである。

変わり者扱いも除け者扱いも、慣れている。思い込んだら止まらないのも性分だ。もう何と言われようと彼女に付いて行こうと、浮かべた柔らかな笑顔の下で決意する。


「……お前の場所を奪った私が、お前の次の道を阻害する資格はない」
「……ありがとうございます」


そんなに自分に負い目というか、罪悪感を持たなくてもいいとハロルドは思うが、それで彼女が自分の同行を許してくれるのならばひとまずはそれでも良い。

床から膝を上げたハロルドは、部屋の隅にかけてあった外出用のローブを羽織った。


「……では、参りましょうか」
「早速か?」
「残念ながら、此処にはあまり路銀になりそうなものは置いていないので。研究室の方にある魔法具の中には捌けるものがあるかもしれませんが、どのくらい無事で残っているかは分かりませんね」
「……、その、すまない」
「貴女が謝る事ではないですよ、ミリス」


旅支度をしたら、すぐに出立しよう。まずは、彼女の受けた仕事を終わらせなければ。


「……包帯でも巻いて殊勝を装って、街に『もう此処には二度と近寄りません』とでも言えばいいですかね」
「…、お前がそれでいいなら、いいが」


微笑むハロルドに、ミリスはやはり少し戸惑いながらそう応えた。












--------------------
思いつきファンタジー。種族差年齢差身長差体格差寿命差と色々と格差萌えをつぎ込んだNLです(笑)

ハロルドさんはぐいぐい口説くけど、いざミリスちゃんが歩み寄ろうとするとキョドる残念なヘタレ(笑) ミリスちゃんは男前ですが、まだ子供なので知識不足で時々相手に付いていけない。そんな二人ですww


13/1/24

≪  ≫

35/45ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!