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ロリ戦士さんとロリコンエルフさんの話(仮)

男が研究施設及び住居としている小さな古城にある日突然正面から乗り込んできたのは、その小柄な体躯には到底似合わない大剣を背負った少女だった。

けれどそのまったく少女に似合わない大剣は、飾りでも虚仮威しでもなく立派な彼女の武器であり、相当な使い手である事が知れる。証拠に男が警備用として城内に放っていた研究成果の一環でもある戦闘用キメラは、一匹残らず少女に容赦なく斬り捨てられてしまった。

魔法使いの根城をたった一人で正面中央強行突破してきた彼女は、手駒を悉く潰され動揺の色を浮かべる男に淡々と言った。


「近隣の村の住人から、古城に住む怪しい魔法使いを退治してくれと依頼を受けた者なんだが……お前、村人たちに何かしたのか?」


彼女は大剣の柄に手をかけてはいるものの、まだ男に攻撃する意思はないのか殺気は全く纏わずにそう問う。

男は追い詰められた状況に冷や汗をかきながらも、話をしてくれる意思がある相手で良かったと小さく息を吐いた。


「いや、そんな覚えはまったくないんですが…。村へは日用品などを買いに行く程度ですし、研究はほぼ家の中で行っていますし」
「……ふぅん? 村人から具体的な被害の話も聞けなかったし、ならやはり『ただ怪しげで何をするか分からないから退治しよう』という話なのか」
「何ですかそれ。私何もしてないのに、言いがかり過ぎるでしょう」
「まったくだな」


あんまりな理由で近隣住人から討伐依頼を出されたと知った男は、嘆きながらため息を吐く。

それに頷いた彼女は、それでも大剣の柄にかけた手を離さない。


「何もしてないお前には気の毒だが、私はこの依頼を受けた以上少なくともお前を此処から追い出さなければならない。命まで取るつもりはないが、とりあえず叩かせてもらうぞ」
「あんまり過ぎません!?」
「すまないな、私も生活がかかっている」


男の悲鳴に緩く首を振った少女は、鞘入ったまま大剣を構えた。

斬るつもりはないらしいが、かなりの重さがあるだろうその大剣を叩きつけられれば、例え鞘に入ったままだとしてもただでは済まなさそうだ。


「もちろん、住居を荒らされるお前が抵抗するのは当然の事だ」
「……つまり結局は貴女と戦え、って事ですか……」


実戦なんて何十年振りですかね、と頭を掻く男はエルフ族だ。エルフ族は特徴として人間より寿命が長く老化も緩やかな為、若く見えても実際幾つ程かは人間には分かりにくい。


(エルフだ、というだけで怪しまれたのもあるのだろうな)


重い大剣を構えながら、少女は思う。

本来エルフ族は森の奥地に棲んでおり、人里まで下りてくる事は非常に稀だ。人間よりも寿命が長く、魔力も総じて高い。そんな人間から見れば異端な存在が一人、人里近くに住んで魔法の研究をしているというだけで、実害はなくとも忌み嫌われたのだろう。


14/1/17

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あきゅろす。
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