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竜と青年(仮) 4

契約はほとんど突発的な事故だったとはいえ、これ程までに真っ直ぐな愛情をぶつけられては悪い気はしない。愛情には縁薄い『人間時代』を送ってきたから、余計にだ。

きらきらとした瞳を向けてくる彼女の頭をよしよしと撫でてやり、クラウは長い時間膝枕をしていたせいで痺れた足を放り出した。


「それにしても、よく寝てたね」
「ふえ? 私、何年くらい寝てましたか?」
「そんな何年も寝る前に叩き起こすよ。…寝てたのはまる二日くらいかな。いくら僕が君の契約者でも、二日間飲まず食わずで膝枕しっぱなしは流石にくたびれたよ」


二日なんて寿命の長い竜にはほんのうたた寝程度の時間なのだろうが、流石に人間上がりの身での体感二日は短くはない。例えその間飲まず食わずであっても耐えられるように、身体がつくり変わっているとしてもだ。

言葉にした途端喉が渇いてきたような気がして、クラウは軽く喉を押さえた。心得たのか、イアがどこからかよく冷えた水の入った筒を差し出す。有り難く拝借して、クラウは喉を潤した。


「はぁ…、ありがとう。でもこれどこから出したの?」
「私の鱗からは清水も精製出来ますので。ちょちょいっと」
「あぁそっか…。って、そんなくだらない事にわざわざ鱗使わなくても良かったんだけど」
「旦那さまの喉の渇きは、そんな事じゃなくて大変な事ですよ!」


力いっぱい主張するイアに、クラウは思わず苦笑いする。

彼女のその鱗の一つ一つは、ただ美しいだけではなく強い力が宿っている。清水を生む他にも様々な用途に使えるが、それはここでは割愛する。

しかし、このよく冷えた清水が鱗……人間姿では髪の毛から精製されたものとは。そう言われると、何だか微妙な気持ちになってしまう。文字通り濁りのない清すぎるくらいの水で、寧ろただの飲み水にするには勿体無いくらいのものだと、頭では分かってはいるのだが。

半分程を飲み干した筒をイアへ返すと、彼女はどこぞかに筒をしまった。


「……さて、休憩もしたし、そろそろ行こうか」
「はいっ」


いつの間にか痺れの取れた(これも先程飲んだ水の効能かもしれない)足を確かめるように回し、クラウはゆっくりと立ち上がった。

クラウは竜の契約者であるが故に人と同じようには加齢しない為、一つの街に定住する事はしない。緩やかな間隔で各地を巡る、流浪とも言える生活をしている。

が、これも案外気に入っている。一人きりの旅ならばともかく、クラウの側には常に連れ合いがいるのだから。


「イア、次行く街では、甘芋のパイが有名なんだって」
「! それは食べてみたいです! 行きましょう、早く行きましょう旦那さま!」
「はいはい。人が居る街では目立つから、旦那さまは止めてね」
「分かりました、クラウさん!」


なんだかんだ言いながらも、クラウはこの竜の少女がとても愛しい。

そんな事、改めて口に出す事はあまりしないけれど。














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契約者というか、伴侶契約というか。お陰でクラウは人間離れなスペックを手に入れてるんですが、感覚的には割と人間です(笑)

イアの半分は旦那さまへの愛、もう半分は残念で出来ています。希少種なんですけどね、一応ww スペックの無駄使いしてる残念っこが大好きですww


13/11/19

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あきゅろす。
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