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竜と青年(仮) 2

『……今壊したのは、私を封じていた竜塚の言わば本体。これで封印は完全に解けましたので、私は晴れて自由です』
「…は、はぁ、おめでとうございます…?」


心なしかうきうきと嬉しそうな竜の声に、少年は戸惑いながらもそう返した。思わず何を言っているんだと自分で自分に突っ込むが、竜は何だか嬉しそうだ。


『ありがとうございます。……さて、私の封印を解いたのは貴方です。貴方には相応の責任を取って貰わないといけませんね』
「……え?」


どことなく不穏な響きの言葉に、少年の背が震える。

なんとなく和やかな会話が出来ていたので大丈夫かと思ったが、やはり喰われるのだろうか。なるべく痛くないように、ひと口に丸呑みにでもして欲しいな。そう思う少年に、竜の声。


『私の名前は『――』。少年、貴方の名前は?』
「え?」


少年に名を聞く前に竜が自分の名らしきものを名乗ったの気がしたのだが、生憎少年にはそれが何と言ったのかが分からなかった。

ぽかんとした少年に、竜が問いを重ねる。


『ですから、貴方の名前は?』
「あ、僕はクラウ……。じゃなくて、君の名前、なんて言ったのか分からなかったんだけど」
『あぁ、私の名前は竜語ですから。……大丈夫、すぐにちゃんと聞こえるようになりますよ』


そう言った竜は妙に嬉しそうで、やはり何故か笑っているように感じた。


『――。――――、―――――』


竜が、何か少年、クラウには聞こえない言葉で何かを言っている。

おそらくそれが彼女の言う竜語なのだろうが、何を言っているのか分からないクラウはただ呆然と竜を見上げるだけだ。

随分と長く何かを言っていた……否、唱えていた竜がふと言葉を止めると、竜の身体が眩い光を放つ。


「うわっ!?」


思わず眩しさに目を瞑ったクラウは、自分の身体も同じく光を放った事には気付かなかった。


「……目を開けてください、旦那さま」
「え……。……は?」


目を開けると其処には、巨大な体躯を持った竜の姿はなく。代わりにクラウの前に立っていたのは、彼とそう変わらぬ年頃に見える長い、透けるような銀の髪を持つ少女。

麗しいその顔に満面の笑みを浮かべた少女は、にこにこと機嫌良くクラウを見つめて声を弾ませた。


「改めまして、私の名はイアルーシャ。今日から貴方様は、私の旦那さまです!!」
「……は?」



これが青年クラウと、水晶竜イアとの出逢いであり馴れ初めであった。














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人外と人間が書きたかった(笑)

一応NLです。随分前についったで吐き出した、旦那さま大好き竜っ娘となりゆき旦那さまですww

竜っ娘からの愛がかなり重くて愛情表現もかなり過剰で旦那さまは普段「はいはい」って流してるけど、実は旦那さまもちゃんと竜っ娘を好きっていうのがイイと思います。そんなのを書いていきたい(笑)


13/11/7

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