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パレード 6

「原因、探し出して断つしかない、って事ですか……」
「そうなるな。その為に、お前の帰りを待ってた」


カチャン、とカップを置く音が部屋に響く。

此方を真っ直ぐに見つめるアクアマリンの瞳に、思わず居住まいを正した。


「マツリ、お前は一般クラスを回って、この騒ぎの大元を探って来い」
「……うーい」


クロウさんの指示に、渋々ながらも頷く。

正直、面倒臭い。けれど、一般クラスを回って情報収集、なんて事を“表”では生徒会長であるクロウさんが行ったら、それこそ学園が大騒ぎになってしまうだろう。面倒臭いけれど、俺が行くより他はない。


「これ程急速に広まってるんだ、その“原因”も生徒たちの間に急速に広まっているんだろう」
「噂話的なヤツですかねぇ……」


しかし、ただ“話”だけでこんなに邪気が伝染するだろうか。

俺は不審を露わに首を捻るが、クロウさんは昆布茶を飲みながら何でもなさそうに続けた。


「まぁ、おそらく探ってみれば分かる。ついでに原因が断てそうなら、そのまま頼むぞマツリ」
「いや、そこは手伝って下さいよ」
「優秀な後輩を持って、俺は幸せ者だな」
「おいこら待て」


先輩に向かってかける言葉ではないが、原因究明から浄化まで全て丸投げにされては堪らない。

ティーカップを置いてその嫌味なくらいに整った顔を睨み付ければ、クロウさんはおかしそうにフッと笑った。


「冗談だ。……相変わらず先輩に対する口がわりぃなぁ、マツリ」
「アナタが尊敬出来るような先輩らしい態度をとってくれたら、俺に出来る最大限の敬意は払いますけどね」


……いや、実際クロウさんを尊敬してないって訳ではないんだけど。

俺が入学するまでの二年間、この最早呪われてるといっていい学園を一人で守っていたのは彼だから。その点は純粋に凄いな、って思わなくもない。

だけど。


「せっかくこき使える下っ端……もとい後輩がいるんだから、使わない手はないだろ?」
「誰が下っ端か、誰が!!」


普段のクロウさんはこんなダメ先輩全開な態度なので、俺の方もどうしても全面的に尊敬は出来ない。

文句言わずに仕事してる時は、最高に格好良いのになぁ……どうして口を開くとこうも残念なんだろうか。


「……ま、とりあえず調査はよろしく頼むな」
「調査は、ね。浄化はちゃんと手伝って下さいよ」
「気が向いたらなー」


ひらひらと手を振るクロウさんに、深いため息が漏れる。

仕方ない、明日はぼちぼちとお仕事しますか。


1年2組出席番号31番、特務特待生、御巫祀(みかなぎ まつり)。行きます。

なんて。














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やっとマツリの本名が出ましたね(笑)

名前の通り、祀は神社系の家系です。クロウさんはエクソシスト系(母方)と女系術士系(父方)のハーフです、あまり父方の恩恵は受けてませんがww

マスコットの管狐ちゃんの登場タイミングを見失っています……。



13/3/5

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