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パレード 5

「ってこれ、昆布茶じゃないですか!!」
「あ? そうだけど、それがどうしたよ」


そんな如何にも西洋風の見た目で、飲んでるのが昆布茶かよ渋いな!! いや、じゃなくて、何でわざわざティーポットとティーカップで昆布茶を淹れたんだ。


「普通、ティーポット使って淹れるのは紅茶とかなんですよ! ていうか湯呑みと急須もあったでしょうが、そっち使って下さいよ」
「急須探したんだけど、見つからなかったんだよな」
「いつものトコに入ってるでしょ!?」


もしかしてしまうのを間違えたのかと棚を確認するが、急須はちゃんとティーセットが入っていた筈の反対側に収まっていた。

思わずクロウさんを振り返ると、彼は軽く肩をすくめてティーカップに口を付ける。


「やっぱ、マツリが居てくれねぇとダメだな。嫁に来いよ、マツリ」
「相変わらず調子良いですね。お断りします」


その美貌から学内外でそれこそ男女問わずにモテるくせに、そんな軽口を叩くクロウさんに呆れのため息を吐く。

今度棚にティーセットと急須の場所を示すシールでも作って貼っておこう。疲れた顔で首を振って、再び席に戻る。

ティーカップに注がれた昆布茶に、改めて口を付ける。多少冷めてはいるが、味は美味しい昆布茶なのが何とも言えない。


「それで? ここ数日、どんな様子なんですか、この学園は」


改めて、本題。

俺が実家に帰っている間に学園に何があったのかと訊こうとしたが、クロウさんは小さく首を振った。


「俺も実家の都合で三日間留守にしててな、今朝戻ってきたらもうこの有り様だ。一応校舎の方で簡単な浄化はしたが、次から次へと何処からか邪気が湧いてきやがる」
「たった三日でこれですか……」


元からトラブルと霊気妖気邪気のバーゲンセールのような土地柄だが、それにしたって三日でこれは酷い。

俺が呆れ半分で首を振ると、クロウさんも肩をすくめる。


「急速に広まってるんだろうな。寮の方にもかなり流れてきてるが、大元の原因はおそらく校舎だ。穢れの濃さが違う」
「そうですか……俺今日は校舎の方には寄ってないんですよね」
「低級の霊や妖(アヤシ)が、次々と湧き出してるような状況だ。一々封じて回るにはうんざりする量だ。一応生き物を守る結界だけ張ってあるが」
「うぇぇ……」


漠然とした“邪気”を祓うだけなら大した事ないけど、低級霊や妖なんかを相手にするのは確かに面倒臭い。しかも、原因が分からない上次々と湧き出てくるような状況なんて。


13/2/25

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あきゅろす。
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