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パレード 3
「メール?」
「メール」
さっさと携帯をポケットにしまった俺に、カツを口に運ぶ物部が問う。
それにほとんど答えになっていない答えを返して、俺は蕎麦を啜った。大好物はお揚げだが、蕎麦も結構好きなのである。
「ナギって、メール見た時のリアクションが結構デカいよな」
「は?」
「いつもどんなメールしてんの?」
物部とはクラスメイトで学校にいるとほぼ毎日顔を合わせる為、意外とメールをする機会は多くない。
……というか、俺が普段メールをするのは『仕事』の関係もあってクロウさん相手が多い為、メールの着信履歴はほぼあの人の名前が埋めている。実家のじいさまとかは電話しかしないし。
…なんか微妙な気持ちになってきた。
首を傾げる物部を見返し、俺は蕎麦から箸を離すと口を開いた。
「……月に俺が何回キツネ蕎麦を食べたかとかをカウントされてる」
「は?」
「さっき、今月入ってから10回目とか言われたわ」
「…………、ストーカー?」
「間違ってない」
じっくり間を開けて、非常に訝しげに言った物部に、神妙な顔をして頷く。
「え、何それ? ナギ大丈夫なのか?」
「……、まぁ、悪い人ではない、よ」
まぁ、からかい混じりにストーカー染味たメールを送ってくる事は間々あるけど、悪い人ではない。
一応、尊敬出来る面もある立派な先輩の筈……である。思わず呆れてしまう面も多々あるけれど。
などと言っていると、ポケットにしまった携帯電話が再び震える。引っ張り出して名前を確認すると、相手はやっぱりクロウさんだった。
前半のどうでもいい戯言はざっと斜め読みだけし、本題の『0時 会議室』だけを脳に記憶する。
(……まぁ、学内全体がこの状況なら、対策はしなきゃならないよな)
ていうか、俺が不在の間、クロウさんは一体何をしていたのだろうか。彼が何かしていたのなら、ここまで酷くはなってないと思うんだが。クロウさんも学園を留守にしていたのだろうか。…かもな。
クロウさんに『了解』とだけ返信を打ち、俺はお揚げさんを囓った。
「……あぁもう、面倒臭えの」
“条件付き”を承知した上での学園入学だったのだが、あまりのトラブルの多さに辟易してしまうのも仕方ないだろう。
(部屋戻ったら、お土産のお揚げも食べちゃおう)
俺の考えが伝わったのか、腰の筒がバタバタと暴れた。……ちゃんとお前の分も残しとくってば。
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例によって、一人称だとなかなかフルネームが出てこない(笑)
この子たち、お土産のお揚げをただそのまま食べるのかしら……?ww
13/1/12
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