ナチュラル
※ (一応)恋人未満
夕食の仕上げをしていたら、がちゃりと玄関のドアの開く音が聞こえた。
時計を見上げると、19時を少し回ったところだ。
鍋をかき混ぜていたおたまを手にしたまま、雪羽はキッチンから顔を出して、会長権限のマスターキーを使って鍵を開け帰ってきた月代を迎える。
「おかえりー」
「…あぁ、ただいま」
廊下を歩いてきた月代を、リビングの入り口で出迎える。
脱いだ制服のブレザーを渡されたので、受け取ってハンガーに掛けた。
軽く伸びをしながら鞄をソファーに置いた彼を振り向く。
「夕飯もう直ぐ出来るぞ。先に風呂入るんだったら、沸かすけど」
「…いや、先に夕飯を貰おう。今日は何だ?」
「ロールキャベツとコンソメスープ。ご飯大盛りにしとく?」
「あぁ、頼む」
頷いた月代を見てキッチンに戻ろうとすると、腕を取られ引き寄せられた。
「わっ」
背中から包み込むように抱き込まれ、顎を指先で掴まれて上を向かされる。
ぱちり、玻璃の瞳を瞬かせると、くすりと笑う月代の夜色の瞳と視線がかち合った。
「…ただいま、雪羽」
「おかえり……んっ」
そのまま紅梅の唇が下りてきて、言葉と共に軽い口付け。
ちゅ、ちゅ、と可愛らしい音をたてて繰り返されるバードキスがくすぐったく、雪羽は眼を細め身を捩った。
「……もう、何だよ」
「いや…。…風呂は夕飯の後に一緒に入ろうな、雪羽」
ぎゅっ、と肩に腕を回しながら言う月代に、雪羽は顔をしかめる。
「えー、やだよ、一人で入れよ」
「…いつも、俺がお前を洗ってやっているのに、か?」
「それはっ、…月代が…」
意味深に笑う月代に、ぱっと頬を赤らめる。
…自力で躰も洗えない状況にさせるのは、誰だというのか。
朱く染まった頬を膨らませ、雪羽は躰を捩って月代の腕の中から逃れた。
クスクスと可笑しそうに笑う月代を振り向き、拗ねた声で告げる。
「…ほら、ちゃんと夕飯の前に手洗っとけよ」
「あぁ」
言ってキッチンに戻って行った背を見送り、月代は漏れてくる倖せな笑いを噛み締めた。
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ナチュラルに新妻(笑) 月代は分かっててやってますがw
結局お風呂は一緒に入ったと思いますよ!w 事後に!ww
11/4/16
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