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相互依存症

優しく自分を包み込んでくれる腕に抱かれながら、雪羽は心地好さげに瞳を細めた。

薄く青を掃いた灰色の瞳の変化に、月代もまた満足そうに唇を歪める。


「……雪羽」
「ん」


柔らかい頬に口付けすると、くすぐったいのか雪羽はまた硝子玉の瞳を細めて笑う。

くすくすと笑い声を漏らしながら、応えるように頬や喉元に口付け。さらりとした黒髪が喉元をくすぐり、月代も小さく笑い声を漏らした。

甘ったるい程の空気が満ちた空間でふと、雪羽が言葉を零す。


「……俺、もう月代が側に居ないと生きていけないかも」
「……」


唐突な、けれどしみじみと呟かれた言葉に、月代はゆるりと夜色の瞳を瞬かせる。

以前、月代と雪羽が正式に付き合い始める少し前の事だが、月代が生徒会の仕事が忙しく数週間雪羽に会えなかった時期があった。

月代としては雪羽の側を離れるつもりなどなかったのだが、雪羽から見れば黙って自分の前から居なくなってしまった形になってしまい、雪羽は酷く焦燥し落ち込んでいたようだ。

その時の些細な行き違いがあって今現在双方の合意をもって付き合っている訳だが、たった数週間自分に会えなかっただけで消耗した雪羽の様子は可哀想だが酷く可愛いかった。

それを思い出して月代は緩く笑う。


「…それは、あの時のようにか?」
「……、あの時も凄く落ち込んだけど。でも、多分今月代に目の前から居なくなられたら、この先生きてく気力さえ無くしそうだから」


あの時以上に、月代に依存してる。

そう囁いて月代の胸元に擦り寄る雪羽の、なんといじらしく愛らしいことか。

甘えてくる雪羽を甘やかす為にその髪や頬を撫でながら、月代は溢れ出してくる愉悦感に紅梅の唇を歪めた。


「…月代は?」
「ん?」
「俺は、月代がいてくれなきゃ駄目なくらいだけど。月代は、どうなの?」


見上げてくる玻璃の瞳は、どこまでも月代を魅了してやまない。

雪羽の存在は月代にとってなくてはならないものだし、この存在が腕の中から逃れていく事など許さない。

もし億が一にでもそうなれば、例え法に抵触しようが雪羽を自分だけの知る場所にでも閉じ込めて囲い込むだろう。これは依存というよりも、妄執と呼んだ方がより近いだろうか。


「そうだな、雪羽が側から居なくなるなんて考えられない」
「うん。……俺はアンタが居なきゃ駄目だから、ずっと側にいるよ」


月代に躰と、感情全てを任せながら、雪羽は甘い声で囁いた。

普通の少年だった雪羽を、自分の存在なくしては立つ事すら出来ないように仕向けたのは、他でもない月代。

彼の依存症は自分が育てたものだという実感に、月代は唇の上に妖しく笑みを載せた。


(寧ろ俺は、雪羽をより俺に依存させていく事に、悦楽を覚えているのかもな)


込み上げた笑いは声に出さず、月代は腕の中の雪羽を優しく、けれど決してそこからは逃がさないように抱き締めた。















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ヤンデレデレしたお話(笑)

相手により依存してるのは雪羽の方だけど、雪羽をそこまで依存させたのは月代が意図してやった事で。月代はヤンデレですよ? おっかない旦那ですよ?(笑) ウチでは溺愛具合が深い程ヤンデレ度が比例して高くなっていく仕組みですwww


13/9/10

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あきゅろす。
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