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等価を捧げる 3

「今日は、詩織さんの方から色々頑張ってくれる、って事でしょ?」
「ふ…え…?」


きょとんと瞳を瞬かせた詩織の頬を指先でなぞり、ソールは愉しげに言葉を続けた。


「お言葉に甘えて、いっぱいご奉仕して貰おうかな」
「え、えっ…?」


ご奉仕、の言葉の意図が分かったのだろう、詩織が戸惑ったように視線を揺らすが、ソールとしてはこんな美味しい機会を逃すつもりはない。

せっかく詩織の方から、この腕の中に転がり落ちてきてくれたのだから。

熟れた林檎のように赤く染まった頬をつんつんと指先でつつき、ソールは詩織に向かって満面の笑みを見せる。


「あっ、あの……するなら、せめて、ベッドで……」
「俺としては此処でもいいんだけど…、詩織さんが言うなら仕方ないね」


おろおろと視線をさまよわせ、けれど拒否ではなく場所を帰る事だけを嘆願した詩織に、ソールは優しく頷いた。

ソールは組み敷いていた詩織の躰の上、ソファーの上から下りると、ひょいと詩織を横抱きに抱き抱えた。


「わっ…」


身長はそれ程低い訳ではない詩織だが、その背丈に対して彼は随分と細くて軽い。

軽々と彼を持ち上げて寝室のベッドへ運ぶと、腕の中の躰が小さく肩を揺らした。


「あ……」
「よっ、と」


ぽふ、と柔らかいマットレスの上に詩織を下ろす。

寝転がされた細い躰、脚の間に膝を付くようにして詩織を逃がさないようにすると、ソールはその肌には触れずにただ詩織に微笑みかけた。


「じゃあ、詩織が俺のこと脱がしてくれる?」
「えっ…?」


彼の利き手である右手の甲に軽くキスを落として、そのままその手を導くように自分の胸元へ。

部屋着の胸元に触れさせた指は、ソールの意図に戸惑ったのかそのまま服に触れたまま動かない。


「あ…」
「ほら、出来ないの?」
「あっ、う、ん……」


促され、詩織はぎこちなくも頷いた。

繊細な書を生み出すその指先でソールの襟元に触れ、ゆっくりとボタンを一個一個外していく。


「ん……」
「俺の躰なんて、もう何度も見てるのに。……あぁ、でも、詩織から脱がしてもらうのはこれが初めてなんだっけ?」
「……」


クスクスと笑いながら囁くと、気恥ずかしいのか詩織は俯いてボタンを外す手元を眺めた。

上のシャツから、下のズボンまで。下着も後々脱がしてもらうつもりだが、今はこのままでもいいだろう。ソールはシャツから袖を抜いて脱いだ後、シャツをベッドの外へ落とし、今度は襟元の手を彼の衣服へと導いた。


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あきゅろす。
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