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ふたりティータイム

湯呑みに入れた淡い若草色の液体を、ゆっくりと飲み下す。


「……、あれ?」


いつもより高いお茶を使ったのに、ちゃんとお湯の温度や蒸らし時間にも気を付けて淹れた筈なのに、思ったよりも美味しくない……。詩織は微妙な顔をして首を傾げた。

お茶受けとして生徒会室から失敬してきた煎餅を囓りながら、ソールはふっと笑った。


「…詩織さん、これ玉露でしょ?」
「うん。なんだか思ったよりも、渋い……」
「玉露はね、煎茶とかよりお湯の適温が低いらしいよ。ウチの会長補佐ちゃんが言ってた」
「えっ!?」


単純にいつもより高級なお茶だから美味しく淹れられると思ったのだが、どうやら意外な所に落とし穴があったらしい。

煎茶も玉露も、同じ緑茶なのだから同じように淹れるのだと思ったのに……。台無し、とまではいかないが、最高の状態にも淹れられなかった玉露を、しょんぼりとした顔で啜る。


「うぅ、ごめんね、ソール君。いつも美味しくないお茶ばっかり飲ませちゃって……」
「いや、気にしなくても大丈夫だよ。最初よりも酷くなってる事はないし」


優しい笑顔で言うそれは、フォロー……なのだろうか。

最初に彼の為に緑茶を淹れてから、既に半年以上。成長していると言えばしている筈なのだが、未だに新しい事に挑戦してみようと思えばこんな有り様だ。
たかがお茶を美味しく淹れるだけなのに、マスターに時間がかかり過ぎでないだろうか。

そう口にすると、ソールはクスクスと笑いながら詩織にも煎餅を勧めた。


「別に、ゆっくりでもいいじゃない。俺は、ゆっくりでもずっと詩織さんに付き合うよ」
「…美味しくなくても?」
「美味しくなくても」


拗ね気味な詩織の声に笑いながら頷く。


「美味しくなくても、詩織さんが俺だけの為に淹れてくれるお茶なんだから」
「……ソール君」
「それとも、他の人にもお茶を振る舞ったりしてるの? 詩織は」


不意に細められたターコイズの瞳が、やや剣呑な色をして詩織を射る。

本気で疑っている訳ではないだろうから、これはきっと彼の意地悪なのだろう。分かってはいても、その瞳の強さにはギクリと心臓が震えた。


「まさか。…こんな美味しくないお茶に付き合ってくれるのは、ソール君だけだよ」
「うん、それならいい」


頷いたソールが煎餅を囓るのを見て、詩織も勧められたそれを食べる。

バリバリ、と顔に似合わず意外に豪快な食べ方。此方はお茶とは違って、文句無しに美味しい。

詩織が煎餅を味わっていると、ふと彼の瞳がじっと此方を見つめている事に気付いた。


「…ソール君?」
「ん、詩織さん。付いてるよ」


指摘と共に、口の端に落ちてくる口付け。ぺろりと舌で頬を拭うついでのように、奪っていかれる唇。


「あ……」
「ん、ごちそうさまです」


ニコッ、とわざわざ目を見張る詩織の前で一言。

その後何事もなかったかのように座布団の上に戻るソールに、鼓動をドキドキと鳴らしながら返す。


「……おかわりは、いかがですか?」
「……貰っていいなら」


クスッと笑う声に、瞼を閉じた。















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相変わらずお茶を淹れる腕は微妙な詩織先生(笑) いや、煎茶とかは大分マシになったんですよ! でも手放しに美味しいとまでは言えない不思議ww

生徒会のお茶汲み担当は雪羽が加入してからは雪羽で、その前は多分会計の雨水。まともに淹れられる人が他にいないからww 月代は雪羽に習ってかなり改善されたけど、雪羽以外の為には淹れないですしね(笑)


13/4/15

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あきゅろす。
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