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※ 恋人設定。雪羽さんまじ主婦 ←





「ただいま」
「…あ、お帰り月代。帰って来たばっかで悪いけど、俺ちょっと買い物行ってくるね」


リビングから顔を出した雪羽は薄手のコートを羽織っていて、確かに出掛ける支度をしていたのだと見て取れる。

…が、寮内にある購買(スーパーのようなものだ)に行くだけなら、別に上着など要らないと思う。

鞄にエコバッグを詰める雪羽を見て、月代が軽く瞳を瞬かせる。


「…購買に行くのか?」
「いや、麓のスーパーに。…購買高いじゃん」
「そうか?」


生粋の金持ちである月代には分からないのかもしれないが、寮内のスーパーは高い。…また、彼処には特売、セールという概念も、存在しない。

そんな訳で、雪羽は週に一度特売日のある麓のスーパーに通っているのだが、…そう言えば月代が帰ってきた日に当たるのは初めてだったかもしれない。

学外へ出掛ける、と言った途端に微妙な表情になった月代に、雪羽は小さく息を吐く。


「アンタには分からないかもしれないけど、俺みたいな庶民には死活問題なの。今日のうちに一週間分まとめ買いするんだから」
「……そうか」
「うん。…まぁ、二時間くらいで戻ってくる………何処に電話してんの?」
「…俺だ。今すぐに車を出してくれ。……そう、校門でいい」
「えっ、ちょっ、何!?」


雪羽の言葉に頷いたかと思えば、何処かへ(話の内容から、おそらく須藤家の運転手だ)電話を掛け始めた月代に、雪羽は鞄を持ったままうろたえた。

何故だろう、何かろくでもないような予感がする。

ピッと通話を切った月代は、雪羽の手にした鞄を取り上げる。


「行くぞ」
「えっ、何アンタも行くの? 麓のスーパーだよ? 購買とは訳が違うよ!?」
「こんな時間に、お前を一人で外出させる訳にはいかないだろう」
「こんな時間って、まだ5時だし! アンタどんだけ過保護なんだよ!?」


雪羽の叫びは無視し、月代は戻ってきたばかりの部屋を出る。

財布の入った鞄を持ったまま置いて行かれては困ると雪羽も後を追ったが、大丈夫なのだろうか?


「ちょっと、月代…」
「…何だ? そんなに俺が着いて行っては困るのか?」
「いや、人手があるのは助かるけど……大丈夫かなぁ、って」


生粋の坊ちゃん育ちの月代だ。おそらく庶民のスーパーは初体験だろうに、特売日の夕方に突入だなんて…。


「月代、彼処は戦場だぞ?」
「…?」




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あきゅろす。
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