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こたつとみかん EX

三が日が終わっても正月気分の抜けない、冬休みの三鷹家。

利也の祖父母は買い物に出掛けて不在であり、三鷹家の居間では利也と明良と三匹の飼い猫たちがこたつを囲んでぐだぐだしている。


「……明良、みかん取ってくれ」
「…えー、利也、自分で取れるだろ?」


栗色の瞳をぱちりと瞬かせ呆れたように言いながらも、なんだかんだこたつの上からみかんを取って利也の前に置いてくれる明良。

二人ともこたつ布団に半身を突っ込みながらの会話なのだから、利也にだって腕を伸ばせば容易に届く程度の距離だ。けれども明良が取ってくれたみかんを口の端を吊り上げて見つめ、利也はその皮を剥き始めた。


「ん、アリガト」
「……取るくらいならいいけどさ」


つん、と籠に積んであるみかんを指で軽くつつき、こたつのテーブルの上に頬を乗せる明良。

自分でみかんを剥く気はないのかそのままころころとみかんを転がし、片手で膝元にじゃれ付いてきた白猫トリオの頭を順番に撫でてやっている。…相変わらず明良は、白猫たちに懐かれついるというか、好かれているというか。

にゃあにゃあとじゃれる特に甘えん坊なタマを膝の上に乗せると、明良はぼんやりと口を開いた。


「ツルギカガミタマってさぁ」
「ん?」
「…ちょっとお餅に似てるよな」


猫たちのふわふわとした、真っ白な毛並み。柔らかいその感触と温かさを味わっていると、なんとなくそんな事を思う。

みかんの皮を剥きながら、利也は床の間の鏡餅を見やって笑った。


「あぁ…分かる」


言いながら、明良の膝元で丸くなっているカガミに、新たに取ったみかんを載せてみる。

ちょうどとぐろを巻く真ん中になるように置くと、明良を見やってニヤリと笑う。


「カガミモチ」
「あはは」


明良が小さく笑うと、物を載せられて不快だったのかカガミが体を揺すってみかんを落としてしまう。

部屋の隅へころころと転がっていったみかんを見て、二人でなんとなく「あーあ」と声を揃える。


「…明良、みかん取ってくれ」
「えー」


先程と同じやり取りではあるが、それを実行するには一度こたつの外へ出なくてはいけないという事に、大きな違いがある。

流石に先程ほどは軽く頷けない明良は不満の声をあげるが、利也はその口の中に剥いたばかりのみかんを突っ込んで笑った。


「…な、お願い」
「……もう」


安い報酬だ、なんて思いながらも、彼のその笑顔には逆らえなくて。

こたつを出て畳の上に転がったみかんを拾うと、テーブルの明良が座っていた箇所の前に利也が剥いたばかりのみかんが置かれた。


「……明良」
「何?」
「みかん、取って」


言って口を開ける利也に、明良は小さく笑いながら彼の剥いたみかんを彼の口に放り込んだ。














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冬休みな利也と明良。わたしの家にはこたつがないので、おこたには妙な憧れがあります(笑)

蛇足ですが二人の位置は向かい合わせではなく、隣り合わせの辺に直角に座っていると思って頂ければw


13/1/10〜2/17

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