ジプソフィラ
8 ※
口腔内で弾けた熱いしぶきに、雪羽はむせそうになりながらも懸命にそれを飲み下した。
…やっぱり、好きにはなれそうにない味だ。生温かいし、生臭いし、苦いし。
それでも、雪羽は飲みきれず口の端を伝ったそれも指先で拭って舐めた。…そうして、顔をしかめる。
「…飲んだのか」
「…苦い…」
本当に、苦そうな顔で。呟いた雪羽の頭を優しく撫でてやり、月代はクツクツと笑う。
「ん、偉いな。おいで」
「ん…」
囁けば、雪羽は素直に月代の膝の上に乗った。熱を帯た瞳で見上げられ、月代は目を細める。
…この瞳を、月代は何より気に入っている。美しいと感じる色彩が、自分への情欲に濡れる瞬間のそれを。
満足感にまた唇を歪め、雪羽の求めるままにその蕾へと手を伸ばして囁く。
「…いい目だ。俺以外に見せるなよ」
「ぁ……、だって、んっ…アンタのモンだろ…」
「そうだな、よく分かっている。良い子だ」
「あっ……んゃぁ…っ!」
褒美というように、つぷりと既に濡れていた其処へと指を挿し込めば、甘い声で雪羽が鳴いた。
…まったく、彼は自分がどれだけ雄を煽るような声をあげているのか、自覚しているのか否か。おそらく、していないのだろうが。
「天然の淫乱、か」
「んぁっ…! なっ、なにぃ…?」
心底愉しそうに月代が吐息だけで呟けば、その玻璃の縁にうっすらと涙を溜めた雪羽が訊き返した。
月代はその涙を啜り取り、目の縁にちゅっと口付ける。
「…何も?」
「…嘘だ、そんな意地悪な顔してるくせ……あっ! あぁん!!」
生意気に口ごたえしようとした雪羽の、良く知った急所を攻めたてる。一際疳高い嬌声が、可愛くない文句を途切れさせて響いた。
…ここまで来てしまえば、快楽に弱い雪羽は文句も不満もほとんど言ってこない。この先は、可愛らしい懇願が聞けるだけ。
流されやすい、子供。それに浸け込んだのは他でもない月代だが、他の者にも容易く流されてはしまないだろうかと、少し心配でもある。
「…俺のモノだからな、雪羽…」
「あっ、やぁっ…月代ぉ…!」
甘えるような声で、名前を呼ばれる。…こんな声も、お気に入りの一つだ。
「ん、もっと欲しいのか…?」
「んぁっ、ほしっ…!」
無意識だろうが、ゆらゆらといやらしく腰を揺らしてそんな風に強請る様は、どうしようもない程淫らで可愛らしい。
…望むままに、与えてやろう。
「ぁっ…」
指を引き抜く瞬間、寂しげにあげる声。…煽っているのかと思う程、その瞳は淫らに月代を見上げる。
「性質が悪いのは、どちらだろうな?」
「…?」
ぱちぱちと瞳を瞬かせる雪羽の足首を捕え、ぐいと左右に開かせた。秘部を全て、暴く。
羞恥を感じたか、雪羽の顔が真っ赤に染まるのを見つめながら、けれど声が上がる前に一息に其処を貫く。
「あっ、あぁ────っ!!」
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