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ジプソフィラ
プロローグ

惣院(そういん)学園。それは全国的にも有名な名門校であり、企業や政治家など所謂“上流階級”の子息たちが通っている。

様々な設備が整っている代わり学費は桁外れに高く、必然的に『お坊ちゃま学校』のイメージが強い此処が、授業料免除の特待生を取り始めたのは割と最近の話らしい。

…というのは、俺の中学時代の恩師から聞いた情報で、俺が今此処に立っているのもその恩師の計らいだ。

何でも俺の恩師の同級生が惣院の教員らしく、今年度の特待生が空席であるという話を聞き、是非推薦したい生徒がいると俺をゴリ推してくれたそうな。

…有難いような、余計なお世話のような。

恩師のテンションの高い説得と、折角だからやるだけやってみたらいいんじゃないという両親の緩い言葉により、既に近くの公立高校に入学していた俺は惣院特待生の編入試験を受ける事になり、記念受験的な感覚でいた俺は何故かそれに合格してしまったらしい。

…意外とちょろいじゃねぇか、とか思っちゃったのは内緒の話。ま、センセーが口添えしてくれたからかもしれないけどな。


…そんな訳で、ゴールデンウィーク開けの中間試験も終わった五月の末という半端な時期。庶民代表の俺、相模雪羽(さがみ ゆきは)は金持ちの巣窟である惣院高校に編入する事になった。


…波乱の予感はしつつ、それでも平凡な俺に見合うくらいの小波だろうと思っていた、んだけどなぁ。


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