ジプソフィラ
7 ※
「えっ、あっ…!?」
「力を抜け。…それとも、痛い方が好みなのか?」
「あっ、あぁぁっ!!」
揶揄するような月代の囁きと共に、巨大な熱塊が押し入ってきた。
…指などとは比べ物にならない質量と、先程は感じなかった躰を裂かれるような痛み。
雪羽があげた声は、嬌声と言うよりは悲鳴に近かった。
「やっ、いたいっ…!」
「っ…、あまり締めるな…」
ここにきて初めて、月代の表情から余裕の色が消えた。
眉を寄せて何かを堪える様な表情は雄の色香をふんだんに湛えていて、一瞬それが目に入った雪羽は蕩けた意識の中でもそれに鼓動を跳ねさせた。
「…雪羽」
「あっ、やっ…!」
焦れたように名を呼ばれても、どうする事も出来ない。
馴らされたとはいえ狭い入り口を割り裂く様に押し入って来る月代の熱に、雪羽はその彼にしがみつく事しか出来ないから。
痛みに耐える様にきつく閉じられた瞼の際から、ぽたぽたと雫が溢れ落ちる。
「やだ…、あぁっ…いたい…っ!」
「…くっ、雪羽、力を抜け…」
「や、ぁっ…そんなっ、ムリぃ…」
低く掠れた声が耳柔を擽る。それはとても心地好いものに思えたけれど、躰を裂く痛みは消える事はない。
「…仕方ないな…」
涙を溢しながら首を振る雪羽に、月代は一度深く息をついた。
雪羽の躰を持ち上げ膝上に乗せる。そうして目線を同じ高さにしてから、唇を重ね合わせた。
雪羽は突然変えられた体勢に驚きながらも、その口付けを素直に受け入れた。
「ぁ…んぅ…」
息継ぎをしようとふっと唇を離せば、追ってきた彼に捕まる。後頭部に手を添えられ、幾度も角度を変えて重ね合わされた。
…軈て僅かに開いた花片の隙間、真珠のように滑らかな歯列の間を縫って、彼の柔らかな熱が侵入して来る。
ピクリと肩を震わせ雪羽は反射的にそれから逃れようとしたが、それは所詮儚い抵抗だ。
「ん…ふぁ…」
絡め合わせるように捕えられた雪羽は、そのまま口腔内を蹂躙する熱に貪り尽されるように奪われる。
只、絡み合う舌先。…深く合わさるそれに、脳髄まで痺れそうだった。
「んっ…ぁっ…」
淫らな水音をたてて貪られる其処とは別に、下方から犯される熱もまたじわじわと侵入を続けていた。
痛い。壊されそうなくらいに痛いのに、合わされる唇の心地好さと共に、奥へ奥へと押し入ってくる。
「ん、…はぁっ!?」
…軈て中途まで埋まったかと思えば、其処からは一気に押し込まれてしまう。
「…全部、入ったな」
「ぁっ…」
唇を離して、笑う月代が囁く。
胎内に根本まで埋められた彼の熱のせいか、囁き声は中に直接吹き込まれた様に感じた。
痛みと圧迫感を訴える躰が、甘く疼く。
「ぁ…ゃだ…、こわいよ…」
膝上に乗せられているせいで、身長差がある彼と目線が同じだ。
雪羽はその瞳に縋るよう、無意識に甘く囁く。
…彼が根本まで全て入りきった今、内臓までが圧迫されるような痛みを感じている。何よりその熱の形をリアルに感じ取る胎内が、怖くて仕方ない。
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