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4.インターバル


僕の想い。

僕の熱。

誰も知らない。


先生の存在を確認できない日々。

去年の夏はまだ、先生が特別ではなかった。

冬休みは何もする気が起きなくて、世界が死んでいるような気がして、ひたすら寝てすごした。ずっと先生の夢ばかり。


春。先生のいない世界が1週間続いている。



『―――そうですね、最近読み始めまして、私はずっと歴史一本だったんですが、科学の世界も面白いものですね。・・・』


終業式の前日、先生と沢村先生の会話を偶然聞いた。

先生は科学に興味を示しているらしい。

そして、今までは歴史だけに没頭していた。


先生はどんな世界を見ているのだろう。

今までずっと歴史を勉強してきた先生は、毎日どんなふうにこの世界を見ているのだろうか。

先生が興味を持った科学って、どんなものなんだろう。


僕は毎日図書館から借りてきた歴史の本や科学雑誌を読み耽っている。小説の類はたまに読んだりしていたけど、こうゆう実用書を読むのは初めてだった。


読み慣れてないからか全部理解できるわけじゃないけれど、先生が好きな世界だと思うとそれだけでわくわくする。

先生が見ている世界の片鱗でも掴めるかもしれないと思うとそれだけで嬉しくなる。

僕は毎日本を読む。


先生のことを思いながら、先生の世界をこっそり覗いている。





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あきゅろす。
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