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17.夢


毎晩、僕は夢を見る。

無感覚の世界の中で、様々な事象が展開する。

それはとても曖昧な、けれど時に現実よりも鮮明な映像。

霞む白い空間に、一人で立っている。

霞の向こうには友達や家族がいて笑っているのに、僕一人だけがこの霞の中で立ち尽くしている。

あの霞の向こう側へ、行くべきだろうか。

ここには僕しかいないけれど、向こう側に行ったら僕は一人ではなくなるのだろうか。

あの暖かな笑い声を上げている人々は僕を笑顔で迎えてくれるだろうか。

孝博の笑顔が目に浮かぶ。

彼なら僕を受け入れてくれるだろう。

あの明るい笑顔で。

『なにやってんだよ、おっせぇぞ!』

そう言って方を抱いて輪の中に引き入れてくれるだろう。

なんの屈託も見せず。

でも、他の人は?

家族。クラスメイト。

彼らは訝しく思うかもしれない。

僕がここに一人でぼうっと立っていることを。

何故自分たちと違う場所にいるのか考えるかもしれない。

本当のことを知ったとき、彼らは孝博のように僕を受け入れてくれるんだろうか。

笑いかけてくれる孝博に甘えて、僕がここにいる理由も説明せずに何もなかったように笑って輪の中に入っていくことは、彼らに対する欺きなのではないだろうか。

僕はあの場所に向かってもいいのだろうか。

彼らはまだ気付かない。

孝博でさえも気付いていない。

輪の中にいるかのように振舞いながら一人霞の向こうで笑っている僕のことを。




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あきゅろす。
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