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12.夏休み-5-





多分、意識はずっとあったのだろう。

けれど、自分に起こったことを理解するのは難しかった。

気がついたときには僕は夜空を見ていて。

月はさっきよりも高いところにあった。

男たちの姿はない。いついなくなったかもわからない。

感覚が麻痺しているのか、体が鉛のように重い事の他は苦痛を感じなかった。

わかるのは僕がYシャツを右腕に引っかけただけの格好で人形のように砂の上に身体を投げ出していること。

――新聞とか本の中のことみたいだ。

こんなことって本当にあるんだなぁ。

現状を飲み込み切れなくて、呆然と空を見上げながら、思ったのはそんなのんきな感想だったけれど。

動かそうと思っても体は鉛のように重く、まるで言うことを聞かない。

そうしている内にどれくらいの時間が経ったのか。

突然人の声がして、身体が強張る。

戻ってきたのか?

「・・・なんだ・・・コレ・・・」

それは聞いたことのある声の気がしたけれど・・・

「・・・・・・おい!?――――――ッ!・・・」

声の主らしい人が僕を抱き起こした。

僕の身体は力を失っていて、その人の腕にぐったりともたれるしかないのだが・・・起こされた拍子に相手の顔が視界いっぱいに入ってきた。

「――――――――……」

煙草、咥えてる。

「・・・・・・セ・・・ンセ・・・?」

どこか遠くで掠れきって声になってない声が、その人に呼びかけた。

声に出してから気づく。

先生であるはずがない。

先生がここにいるはずないじゃないか。

それに、その人は眼鏡をかけていない。

でも、ああ、そうか。

僕は今きっとこうして先生に抱きしめられたいんだ。

だから―――




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あきゅろす。
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