11.夏休み-4-
「あっれ〜? ぼうや、こんなところで何シテンノ?」
突然妙に呂律の怪しい声が掛けられて、考えに沈んでいた僕は思わず飛び上がってしまった。
「脅えテンじゃん、かっわいいー」
振り返ると、昼間ここら辺でよくサーフィンをやっている大学生くらいのお兄さんが3人立っている。
その口調から、彼らがかなり酔っ払っていることがわかる。
「・・・こんばんは」
酔っ払いには関わらないほうが良いと、親たちの連日の夜宴でうんざりするほど思い知らされていたからとっととこの場を離れようと思った。
頭を軽く下げてお兄さんたちの間を通り抜けようとしたとき。
「・・・・・・!?」
無造作に右腕を掴まれた。
「ちょぉ待ってーナ兄さん、俺らと少しだけ遊んでカナイ?」
そういってにやにやと顔を近づけてくる。
「おー? 女みてぇ。すげぇ上玉」
「あ? どれ。オッ」
何故か3人が僕の顔を見て目を輝かした。
女みたい? すごい上玉?
そんなこと言われたことないんだけど。
酔ってるときって目がおかしくなるのか?
なんにしてもこのままだとやばいことになりそうだ。
「・・・離してもらえますか。」
そういって掴まれた腕を取り戻そうと引いてみるのだがびくともしない。
「なあ、オレ、たまってんだよね〜、女いなくてさぁ」
「だよなぁ。ヤッちまおっか。」
「!!??」
いや、そんなあっさり・・・
「ナイスアイデア! やっちゃおやっちゃお〜」
予想もしていなかった急展開に呆然となるものの、本能的な恐怖から僕は本気で抵抗し始めた。
やばい。
この時間、本当にここら辺は人がいないのだ。
大声出そうが走って逃げようが人の助力は期待できない。
「ヤメロッ! 変態!!」
力の限りに暴れて叫んでも、男たちが笑いを深めるだけ。
やばい。
足を払われて砂の上に倒れる。
すかさず一人が圧し掛かってきて、その足で脚を押さえ込まれて手を一括りにされて頭の上で押さえ込まれる。
「やめろッ! ヤメッ・・・」
頬を殴られた。
ジーンと痺れて、目が開かない。
その間にワイシャツの前ボタンを引きちぎられて、剥ぎ取られ、それで後ろ手に縛られた。
「アハハハハッ、た〜のしい〜」
ひどく上機嫌なその声が恐ろしくて、僕はブルリと身を震わせた。
ろくに抵抗できないまま下に来ていたものも剥ぎ取られ、砂の上に再び放り出される。
そこからはわけがわからなかった。
必死で抵抗したのは覚えてる。
多分思い切り殴られたんだろう。
気がついたら全身が金縛りにあったみたいに硬直していた。
何か奇妙なものが口いっぱいに押し込まれていて、身体を押さえ込まれていて、そして―――
痛み。
内臓が裂けるような痛み。
覚えているのは、宙に浮かぶ月。
そして、顔を真っ赤にした男の両肩に乗って、まるで男の一部のように一緒に揺れる白い脚。
これは何だろう。
何が起こっているんだ?
この痛みは何だ?
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