Introduction
初めて誰かを欲しいと思った。
その人に自分を見てもらいたいと思った。
これはたぶん恋なのだと思う。
こんなに激しい、いてもたってもいられなくなるような感情を、他人に対して感じたことはなかったから。
その瞬間から、その人のことを四六時中考えるようになった。
他のことは手に付かなくなった。
先生の仕草、先生の声、先生の顔、先生の髪・・・
その全てが頭の中に渦巻いて、そして僕を狂わせる。
わかっている。
この恋は報われないものだ。
先生を手に入れることは出来ない。
先生はいつか誰か特別な人を見つけて、その人ともに歩むのだろう。
僕のいない生活を送るのだろう。
そもそも僕が先生の世界の一片にでもなれるとも思えない。
先生を想う僕の気持ちは、僕の中で好きなだけ渦巻いて、僕の心かき乱し、初恋という思い出だけを残して消えていくものなのだろう。
この恋は報われない。
でも、見ているだけなら。
先生が僕と空間を共有している間だけは、こうして想っているのだけなら許されるだろうと思って。
僕はいつも先生を見ている。
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