short (ss) いつのまにか… (リクエスト) あや様よりリクエストを頂きました(●^o^●) 年の差パロで、急に男らしくなったサスケにサクラがドキッとする話…ということで、 サクラ高2 サスケ中3の設定です!! ******** 「サクラ、久しぶりだな…」 その声に顔を上げると、目の前にはハっとするほどの美少年。 ……ダレ、このイケメン? この心中が顔にそのまま書かれていて、ぼけっとしていたのだろう。 「……相変わらずぼーっとしてんな、おまえ」 「……へ…」 そういって、黒髪の少年は上から目線でフンと鼻で笑った。 この生意気な口調。 そしてこのデカイ態度。 まさか。 「……さ、サスケ…くん?」 「……このウスラトンカチが」 近所にはあまり同じくらいの年の子供がいなかった。 唯一、わたしと2つ年下のサスケくんがそれに当たる。 小学校の時は集団登校やなんかで一緒に手を繋いだりしたけど。 私が中学に上がってからは、あまり見かけることもなくなった。 部活に忙しく、早朝に家を出て夜遅くに帰ってくる。 受験生になればそれはなおさらで。 同じ学校とはいえ1年生である彼のことなんて全く消息不明だった。 ごくごくたまに見かける事があっても、とても声なんて掛けられない。 私より背の小さかった、やんちゃでかわいい、そしてちょっと生意気なサスケくんは。 随分背が伸びて、同じくらいになっていた。 それが、2年前の中学3年のとき。 彼は、中学1年だった。 そして、現在。 電車で5駅先の高校に通う私と、地元の中学生が会う機会があるはずもなく。 「ひ、久しぶりだね…。これから出掛けるの?」 ここは私の家の近く。 近所のコンビニへ雑誌を買いに行こうとしたところ、偶然会ったのだ。 サスケくんは、肩からバックを下げていた。 ずっしりと重そうなそれは、参考書やノートか。 「まぁな……これでも、受験生だ」 私の視線に気付いた彼が、肩の荷物を見やった。 そうだった、彼は中3。 どおりで、こんなに成長していたわけだ。 私は、まるで近所のおばちゃんのような事を考えていた。 「おまえの高校、受けるから」 不意に、ドキっとした。 記憶の中のものよりも遥かに低い声。 そして、何だって? 「……え」 「ここらじゃ一応、一番の進学高だろ。兄貴も行ったとこだとか、親がうるせぇし」 あ、そういうこと…。 苦笑いを浮かべた。 何故か、がっかりした自分に違和感を覚える。 「おまえ、小さくなったな」 突然、手が伸びてきて、頭を撫でるように触れた。 途端に心臓が跳ね上がる。 「………さ、サスケくんが、背が伸びたんだよ」 精一杯平静を装って、返してみるけど。 どうしよう……。 もともとかわいい顔立ちだったけど、まさかここまで人目を惹く容姿端麗になっていたとは…。 どういう脳内回路か、昨日告白してくれた同級生の男の子の顔が浮かんだ。 『ちょっと、考えさせて…』 とは言ったけど、何で。 今は関係ないはずでしょ…!!? 思わず俯く。 何故か、彼の顔を正視していられなくなる。 その時、彼の携帯が鳴り、取り出して耳に当てる。 そのひとつひとつの動作が、綺麗だと感じた。 「…ああ、わかった。直ぐ行くから」 穏やかな声でそう返して、すぐに切る。 そして再び、私に向き合った。 「じゃ、『勉強』するから」 「うん…、……がんばって!」 月並みな励ましの言葉しか出てこない。 もっと、色々話したい、知りたいのに。 何か、なにかないか。 彼を繋ぎとめる、何か。 「………彼女?」 向こうへ踵を返しかけた彼の動きが、止まる。 「……は?」 何言ってんだろ、私、関係ないのに…っ。 「あ、あははっ!だって、何となく。サスケくん、その、すっかり…」 「……なんだよ」 「……すっかり……カッコよくなったからさ…」 「………そっちは?これからデートってとこか」 私が勇気を振り絞って出した褒め言葉には、興味なさそうに反応せず。 言われ慣れているのかな。 カッコイイとか、素敵とか。 今の彼の環境を知らなくて、ついていけずに。 私は、何かに嫉妬した。 「……そうだよ。最近つき合い始めたひと」 「へぇ…、サクラに彼氏ねぇ」 サスケくんはそう言いながら、全く興味なさそうなのが見てとれる。 ちょっと、いやかなり。 悔しくなった。 「……なによ、いちゃ悪い?すっごく素敵なひとなんだから…っ」 「別に」 どうでもいい。 そう言いたいんでしょ。 私も、なんでこんなにムキになって嘘を並べるのか、分からない。 ちょっとだけでも、振り向いて欲しい。 気にかけて欲しい…。 自分のあさましさに、呆れた。 「楽しそうで、何より」 サスケくんはそう言い残すと、じゃあ、と手を振って歩き出した。 なぜか、悲しくなった。 この短時間の間に、一瞬で恋に落ちて、そしてフラレタということか。 自分がこんなに惚れっぽかったなんて。 俯くと、視界には地面だけが入った。 何年か振りに逢えたのに。 すごく、ドキドキしたのに。 これで、おしまいなのだ。 バカだ。 私は、ため息をついた。 ふと、視界が暗くなる。 地面に影が出来る。 「野郎だらけで、バカばっかりだからな」 その低くなった、聴きなれない声に。 けれど、胸に響いて心を揺さぶられるような声に。 顔を上げた。 「オレだけじゃ、手に負えねぇんだ」 目の前では、まだ見慣れない彼の、凛々しい顔が覗き込んでいた。 「手分けして、面倒見てくれねぇか?」 「………え…?」 どういうことだろう。 だって、わたし。 さっき、下らないウソ、ついたのに…。 「……サクラ、うそつくの下手だって知ってる。…昔から」 「………っ!!」 途端に、かぁっと赤面した。 見透かされていた。 「来いよ、ヒマだろ」 返事をする前に、手をぐいっと引かれる。 思ったよりも、ずっと大きな逞しい手だった。 「……サスケくん…っ」 彼を見上げる。 肩越しに振り返る、彼。 私よりも、高いところで視線がぶつかった。 「……マジで用事あったのか?」 彼が少しも悪びれずに言った。 即座に首を振って否定する。 「なにも…っ!…ごめんっ」 「…何で謝るんだよ」 彼はゆっくりと歩き出した。 不思議な事に、手は繋がれたままだった。 「ごめん…、行くよ」 「そりゃ、ありがたいな」 彼は空を仰いだ。 私は、歩調が違うことに気付く。 彼のほうが、一歩が大きかった。 「サスケくん、大きくなったね…」 「…てめぇ、バカにすんなよ…」 「違うよ、してなんかないよ」 軽く睨む流し目も綺麗で、照れ隠しにクスクスと笑った。 私は、なんてもったいない数年間を過ごしていたんだろう。 身近に、こんなに素敵な男の子がいただなんて。 2歳の差は、大きいけれど。 きみは、思った以上に成長していたんだね。 「……待ってるね」 サスケくんはそれには応えず。 少しだけ視線を向けると、ふっと笑った。 fin. ********** 2012.9.2 あや様、どうもありがとうございました(^_-)-☆ 大変遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。 こんな感じでよろしいでしょうか?? 気に入って下されば、どうぞお持ち帰り下さいませ^^ ※あや様のみ、お持ち帰り可です。 [*前へ][次へ#] [戻る] |