short (ss) 君にyell B (リクエスト) 気が付いたら、用意した覚えのない食事の跡がそこにあった。 何があったかは思い出せない。 それどころか、今日一日の記憶が、曖昧だ。 もうそろそろ就寝時間である。 首を傾げながらも明日の準備をした。 翌日、班員たちに会っても特に変わった様子はない。 「なぁ、昨日って…」 「え?昨日がどうかした?」 屈託ない笑顔で嬉しそうに答えるサクラに、いつもと同じようなウザさがこみ上げる。 やはり、何も無かったのだ。 「出発だってばよ〜!!」 いつもと同じカラ元気のウスラトンカチの掛け声で、歩き出そうとする。 その時、ふいに。 ―――――生きろ 言葉が浮かんだ気がした。 あの夜の、兄の言葉だ。 「……フン、言われなくても」 誰ともなしに口の中で呟いて、サスケは足を踏み出した…。 **** 「よかったぁ…、戻ってこられて」 「…まさかこんなことが起こるなんてな…」 南賀野神社の隠された部屋。 とんだアクシデントだった。 時空を超えた旅を終えるとともに、そこでの記憶は消されるとある。 「……どうやら、あっちで関わった連中の記憶ってことらしいな」 写輪眼を石碑に向けて、サスケが口を開いた。 「まぁ、これで問題なしってことだ」 「びっくりしたけど、楽しかったぁ〜」 何を呑気な事を…、と眉をしかめてみせる。 「だって、サスケくん、やっぱり昔からカッコイイんだもん」 嬉しそうに頬を染めて言う彼女に対し、何故か素直に喜ぶことが出来ない。 「……あんなクソガキに、飯まで作ってやるなんて…」 「え、何で?…だってサスケくんだからいいじゃない」 手には、『彼』のまだ新しい額当ての感触が残っていた。 「……帰るぞ」 外にでると、いくらも時は過ぎていなかったようである。 「……もっと、周りに気がつけってんだ」 彼の言葉は、サクラには聞こえなかったが。 その表情は、穏やかだった。 来た時と同じ、昼下がりの木漏れ日の中を、二人は並んで歩いて行った。 fin. *********** 2012.9.28 りあ様、素敵な設定のリクエストを、どうもありがとうございました^^ そして大変長くなってしまい、申し訳ありません。 こんな感じでよろしければ、どうぞお持ち帰り下さいませ。 (返品・手直しはいつでも承ります) ※りあ様のみ、お持ち帰り可です。 [*前へ][次へ#] [戻る] |